2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23501218
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
奈良 貴史 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30271894)
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Keywords | 人類学 / 法医学 / 骨考古学 / 葬送儀礼 / 火葬 / 法人類学 / 骨組織 / 骨学 |
Research Abstract |
日本史の教科書にも登場する古事記を編纂した奈良時代の文官太安万侶の焼骨が発見されたことは有名であるが、我が国において遺跡から焼かれた人骨が出土することはけっして稀なことではなく、古くは縄文時代から近世まで存在する。しかし、焼人骨の実証的研究が少ないことから、出土焼人骨は人類学的な検討を受けない例が多数存在する。本研究は、遺跡から出土する焼人骨の鑑定能力の向上を目的とし、歴史資料としての焼人骨の価値を高めるものである。そのために焼かれた人骨の重量、破損、収縮率がどのようになるか解明することが重要であるので、解剖学実習で使用されたご遺体が荼毘にふされる際に観察・計測を試みてきた。しかし、ご遺体の火葬は公的機関で行われるので我々の研究計画に沿って実際に全て行うことが困難なことが多々生じることが判明した。そこで最終年度は、これまでの2年間の研究から火葬場という限定された環境の中でも比較的焼成前と後の観察が容易である鎖骨・大腿骨の骨幹部中央の矢状径・横径、緻密質の厚さの肉眼計測に加え、完形の二次オステオンの面積、ハバース管の面積、オステオンの面積に対するハバース管の面積の比を骨組織形態計測を重点的に行った。観察した死亡年齢・性別の判明しているご遺体25体において全ての計測が可能であったわけではないが、それぞれの収縮率を求めることができた。この結果は、出土焼人骨の性別推定に有効になるばかりか法医学の分野でも応用が可能であると思われる。
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Research Products
(3 results)