2011 Fiscal Year Research-status Report
書写本・巻子を対象にしたデジタル展示のための基礎技術開発
Project/Area Number |
23501228
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
北村 啓子 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (60204913)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デジタル展示 |
Research Abstract |
[書写本・巻子の提示技術] 当館の研究展示『近世の和歌御会200年-久世家文書にみる公家の文事-』において、デジタル展示コンテンツの開発・提示を行った。具体的には、墨筆跡・紙質・色彩を再現するために、撮影解像度、画像データ加工、高解像度モニタ(2560x1600 pix)を使った表示の実験を行い、技術とノウハウの確立を行った。特に巻子については、分割撮影と画像データ上での貼り合わせが密接な関係にあり、また解像度とデータサイズ制約との関連もあり、ノウハウの蓄積を行った。準備した高精細画像を使い、全巻を効果的に見せるための提示技術を検討し、具体的な提示ソフトウェアを開発した。さらに、巻子の巻紙方式を実現する汎用的なソフトウェアに仕上げた。 本展示で開発したシステムを含み、これまで当館で開発してきたデジタル展示のシステムを国立歴史民俗博物館の共同研究で紹介、画像電子学会画像ミュージアム研究会で研究報告を行い、研究技術交流を行った。 人間文化研究機構主催の連携展示『都市を描く-京都と江戸-第II部「江戸名所と風俗画」』において、国立歴史民俗博物館と連携してデジタル展示を行った。 [電子ペーパーを利用した提示技術] 電子ペーパーを利用した表示デバイスを購入し、試用・評価を行った。研究開発状況の情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時のH23年度分計画に従い、ほぼ実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
[巻子の提示技術と新しい入力技術の開発] 巻子を巻きながら読む雰囲気を臨場感も伴い味わうことができるインタフェースとして、高解像度モニタ(2560x1600 pix)2台を横に接続した形態で巻子を表示するための表示技術を確立し、横巻紙方式のソフトウェアを開発する。巻子の超横長画像データを操作するデバイスとして、マルチタッチパネルやジョイスティクなどの新しい入力デバイスを利用し、直観的な操作インタフェースの開発にも取り組む。23年度に引き続き国立歴史民俗博物館、新たに国立民族学博物館、その他博物館・美術館・国文学関連の文学館、文書館・大学図書館などと技術交流を行い、実展示での応用に取り組む。 [ポータブルビジュアルガイドシステム] 展示物を見ながら携帯する装置で見えない部分を補完して見せるために、ポータブルなビジュアルガイドシステムを効率的に作成するためのツール開発に取り組む。ポータブル表示端末としては、高解像度で使い勝手のよいタッチパネル方式、かつWi-Fiによるインターネット接続、ウェブブラウザ搭載など汎用的な商用製品が普及しているのでこれを利用する。当館の実展示を題材に、コンテンツ作成、実験、評価を行う。 [電子ペーパーを利用した提示技術] 電子ペーパーを利用した表示デバイスの試用・評価を行う。電子ペーパーの研究開発を行っている大学研究者・企業との研究技術交流・情報収集を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度購入予定の備品が近々新型モデル発売の情報が入り、研究実施に新型モデルの方が良いと判断し今年度に持ち越したため、未使用額が生じた。研究計画の実施に変更はない。設備備品費: ポータブルビジュアルガイドシステム、電子ペーパーを利用したシステムの試用・評価のために備品を購入する。消耗品費: 上記備品に伴う消耗品、デジタル展示コンテンツの開発に必要な消耗品を購入する。旅費: デジタル展示の提示技術・芸術文化デジタルコンテンツの提示技術・電子ペーパー技術の研究開発情報の収集・研究交流を行う。謝金等: デジタル展示コンテンツのデータ作成を補助してもらう。
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