2012 Fiscal Year Research-status Report
書写本・巻子を対象にしたデジタル展示のための基礎技術開発
Project/Area Number |
23501228
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
北村 啓子 国文学研究資料館, 研究部, 助教 (60204913)
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Keywords | デジタル展示 |
Research Abstract |
当館の3展示において、デジタル展示の開発を行った。 1. 特別展『鴨長明とその時代 方丈記800年記念』 嵯峨本『方丈記』 原本画像から墨書きの文字情報を抜出し、地模様の雲英を強調して原の模様を浮かび上がらせて装飾料紙を再現した。その上に墨書きを乗せていくことにより、筆書き(筆跡)のシムレーションを行った。 2. 特別展『江戸の表現-浮世絵・文学・芸能-』①『扇の草子屏風』タッチモニタ1台に屏風全体像を表示、これを入力デバイスとして屏風に貼られた12枚の料紙を選択する。もう1台の高精細モニタで個々の料紙の高精細画像と描かれた和歌の翻刻も同じように散らし書きにして表示する。モニタ2台に、タッチ入力デバイスと高精細表示の機能を分担させることを実証した。②『阿不幾集』巻頭から巻尾まで全てのデジタル画像を高精細モニタで細部まで見せ、描かれた和歌の翻刻も同じく散らし書きで同期して見せる技法を開発した。③『東海道53駅鉢山図絵』原本と有名な歌川広重の「東海道五拾三次」のデジタル画像を53宿場町ごとに並べて、構図の比較対照をしながら日本橋から京都までの絵図を見せる。PCでなく軽装な機材Retina ipadだけを使い、高精細モニタを活かした高品質の展示が可能であることを実証した。 3. 通常展『新収品・新寄託品展 古筆のたのしみ』 距離のある奥に原物を掛けているケースの前で、ipadを手に取って高精細画像を拡大しながら詳細まで見ることにより、原物以上によく鑑賞ができることを実証した。 更に25年度より開始する通常展のモバイルガイドシステムの開発を行った。展示物の解説ビデオを中心としたWebシステムを開発し、無線LANを展示室内に設置し、Wi-Fi経由で来館者のタブレット・スマホなどで利用できるようにした。4月1日から稼働している。 以上を国立歴史民俗博物館の共同研究で報告と研究技術交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時のH24年度分計画に従い、ほぼ実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年頃から4Kモニタ(3840x2160)のPCデスクトップ用もコンシューマ向け製品化されてきた。さらに、タブレットも Retina ipad(2048x1536), Nexus 10(2560x1600)など 4k destopを遥かに超える300ppiの高密度displayのタブレットが出現し、これまでになかった新しいdisplayへの技術革新の真っ最中である。H25年度は今まで以上に原本の再現性が高いモニタを活かした新しい展示技法の開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費: 次々と開発される高密度displayのタブレットを購入し、新しい見せ方など展示技法の開発・実験・評価に使用する。 消耗品費: 上記備品に伴う消耗品、デジタル展示コンテンツの開発に必要な消耗品を購入する。 旅費: デジタル展示の提示技術・芸術文化デジタルコンテンツの提示技術・電子ペーパー技術の研究開発情報の収集・研究交流を行 う。研究成果の発表に国際会議、学会研究会などに出向く。
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