2013 Fiscal Year Annual Research Report
災害脆弱性評価に向けた日本の沖積平野の地形形成モデルの構築
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23501238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須貝 俊彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90251321)
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Keywords | 地形 / 沖積層 / 氷河性海水準変動 / コースタルプリズム / 河川縦断面形 / 関東平野 / 濃尾平野 / 地殻変動 |
Research Abstract |
関東平野を対象として、沖積層に挟在する海成層(沖積中部泥層)の分布の特徴を明らかにし、そのような分布となった原因を探る目的で、過去40万年間に遡って、海洋酸素同位体ステージMIS 1,5,7,9,11の間氷期に堆積した海成層の空間分布を復元・比較した。これら5枚の地層のうち、最新期のものが沖積中部泥層である。MIS 5までに繰り返された4回の海面上昇期には、陸化した地形をオーバーラップして、広域に海域が拡大し、地層が形成された。MIS 1では、海域の拡大は、直前のMIS 2の低海面期に形成された河谷内にとどまり、その結果、地層の発達域が著しく限定された。多地点で、ボーリング資料等をもとに、堆積深度‐年代曲線を描き、垂直地殻変動速度の変遷を推定し、それらを統合し、関東造盆地モデルを検証した。数十万年オーダーでの沈降から隆起への転換が盆地の縁辺から中央へ進行したこと、その運動のなかで、たまたまMIS1の海進時に、陸をオーバーラップできなかったことが明らかになった。また、地殻変動条件を除くと、各堆積層の広がりはMIS曲線と調和的であり、グローバルな海水準変動を反映していることが明らかとなった。他方、濃尾平野では、等速沈降傾動が推定され、過去の海成層の分布は、グローバルな海水準変動を直に反映していることが確認された。以上の2つの対照的な長期モデルをもとに、日本列島スケールでの沖積中部泥層の分布について、35河川の下流域を対象に比較を行った。その結果、同層の面的広がりは、それ以前からの地殻変動傾向を反映する一方で、河川縦断方向の広がり、いわゆるコースタルプリズムの形状は、MIS 2の谷地形に強く規定されており、沈降速度がmm/yの一部低地を除き、海底地形と流域面積に支配されていることを明らかにした。
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