2011 Fiscal Year Research-status Report
伊勢湾沿岸流域の二次的自然環境形成が栄養塩循環と海域生態環境に与える影響の解明
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23501240
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 准教授 (70296234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 行幸 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90115733)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 塩淡境界 / 栄養塩 / 海底地下水湧出 / 二枚貝 / 比抵抗探査 |
Research Abstract |
本研究では,陸域の人間活動による人為的インパクトを強く受ける閉鎖性水域である伊勢湾沿岸域における貝類および海藻類の生息分布の実態と,栄養塩供給の面で生息条件を強く規制すると考えられる陸域-海域の水・物質循環との因果関係について明らかにすることを目的としている。初年度にあたる平成23年度は,海岸部から沖合にかけての塩淡境界の時間変化,汀線から沖合30m付近にかけての二枚貝の生息分布,海岸線と平行した測線での水質分布について解明することを目標に調査・分析を行った。その結果,南北方向測線では,局所的に海底地下水湧出域が分布することが判明した。このことは,従来陸域から沖合に向かって測線を設け,塩淡境界の調査を行ってきた結果を面的に利用することが困難なことを示したことになり,沿岸域における海底地下水湧出の状況が非常に複雑であることが明らかとなった。二枚貝の生息分布は,陸域から沖合にかけて比抵抗探査によって測定した比抵抗分布の結果と調和的であり,海底地下水湧出域とそうでない地域で生息数に大きな違いが見られた。さらに,二枚貝の体液の成分も,生息域によって異なる傾向がみられた。以上の結果は,海底地下水湧出による栄養塩供給と二枚貝の生息域の関係について,その関係性を示唆する物であると考えることが出来,次年度では,さらに河口部を含む広域において調査・分析を行うとともに,陸域における過去~現在にかけての土地利用変化と地下水・栄養塩涵養量の変化の推定を行うことで,さらに地下水流動系を媒介にした栄養塩供給システムの解明に迫ることが出来ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
夏季調査および海底地下水湧出と二枚貝分布の関係解明については,予定したとおりの調査が実施でき,分析も順調に行えたため,次年度への調査に向けた有益なデータが得られた。一方,9月の台風襲来時の高浪により,海岸部に設置している観測井が流失してしまい,その復旧工事に,研究経費の残額のほとんどを使用したため,冬季の調査および生物分布調査を行うことが出来なかった。冬季調査については,次年度の同時期に実施することで,生物分布調査は次年度の早い段階で実施することで対応出来ると考えており,研究遂行そのものの遅れは生じていないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き,夏季調査を行う。また,河口域を含めた調査地域の拡大,二枚貝だけでなく藻類を含めた生物分布調査を行い,陸域から海域にかけての地下水を媒介にした栄養塩循環に,もっとも影響を受ける生物について検討を行う。冬季調査については,平成23年度に実施できなかったため,12月~2月の間に2回程度実施することを予定している。陸域については,過去~現在にかけての土地利用変化について作業を行い,地下水涵養域における涵養量の変化,栄養塩涵養量の変化について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査・分析機器の大きな故障が無い限り,当初の予定通りの予算執行を行えると考えている。夏季および冬季調査,河口域を含めた調査地域の拡大,生物分布調査などへの使用,調査時に採取した水サンプルの分析と分析に必要な薬品・実験器具などの購入に使用する予定である。また,研究の進行状況によっては,河口部に深度10m程度の観測井の掘削に研究費の一部を充当することも考えている。平成23年度の予算のうち,一部を次年度に繰り越すことになったが,これは9月の悪天候により,予定していた生態調査を一部行えなかったことによる。次年度はこの分の予算を使用することで,今年度に行えなかった生態分布調査を実施する予定である。
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