2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501241
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 忠徳 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303685)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 自然電位 / 地下水 / 透水係数 / 数値計算 |
Research Abstract |
本研究では、地下水の流入・流出条件から自然電位ソース及び自然電位分布を計算するシミュレーターを開発した。実際の解析プロセスでは降雨量が地下水流入の境界条件となることが多いため、不飽和層での地下水流動も扱えることを目標とした。様々な地下水シミュレーターを試した結果、岡山大学が開発した有限要素地下水流動シミュレーターAC-UNSAF2D2007を基礎に開発を行うこととした。開発されたシミュレーターを用いて、山地斜面に発生する自然電位を計算したところ、従来よく知られる"地形効果"(地形と負の相関のある自然電位分布)を再現するができ、シミュレーターの妥当性を評価できた。次に、地下に透水構造不均質性を与えた際の自然電位分布について計算を行ったところ、透水構造異常体の上では自然電位分布にも異常が現れることが明らかとなった。特に、水平方向へ伸びる透水層や、垂直な不透水層については、自然電位分布に特徴的な異常が現れることが分かった。さらに、自然電位分布に影響を与えうる他のパラメータ(比抵抗・流動電位係数)について、土壌モデルを仮定した上で透水係数と結合して影響を評価したところ、透水構造と地下水の流入・流出の位置や量が、自然電位分布に対して支配的であることが明らかとなった。従ってこれらの数値計算により、自然電位分布から透水構造を求めることができる可能性が高まったといえる。一方、自然電位分布から透水構造異常の位置や深さを求めるには、インバージョン(逆解析)が必要である。本研究では重・磁力探査でよく用いられる下方接続を自然電位分布に初めて適用し、その効果を検証した。その結果、透水構造異常の周辺に発生する自然電位ソースの概略位置を検出することに成功した。この手法をさらに発展させることで、透水性異常体の強さや位置を求めることができると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度には数値計算ソフトの開発に重点を置き、研究を実施した。計画通り、順計算ソフトの構築および逆計算方法の考案を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、室内実験および野外観測を通じて、本手法の妥当性を検討する。また、逆解析手法において、水文学的情報を取り入れられるよう、解析技術の高度化を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
室内実験機器の購入および野外観測に関する試験調査を実施する。
|
Research Products
(4 results)