2013 Fiscal Year Annual Research Report
沖積低地への土砂流入増大期に対応する流域斜面崩壊等多発期についての研究
Project/Area Number |
23501248
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 秀明 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30173909)
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Keywords | 沖積平野 / 完新世 / 洪水 / 土石流 / 仙台平野 / ミレニアムハザード |
Research Abstract |
本課題では東北地方中部太平洋岸地域において,縄文時代晩期(2600-2400年前)および古墳時代(1600-1400年前)に存在した大規模洪水多発期に関する事例を確認するための調査・研究を行ってきた。平成23年度は以下の4地区について調査を実施し,成果を得た。 1.宮城県田尻町北小松地区に見いだされる大規模洪水堆積物の分布状況と洪水発生時期に関する調査・研究を行った結果,江合川の支流である田尻川沿いの地域において2600-2400年前に大規模な洪水が少なくとも2回発生していることが明らかとなった。 2.宮城県多賀城市七北田川下流域に存在した潟湖の埋積過程についての調査・研究においては,2600-2400年前に陸域から多量の土砂が供給され,潟湖の大部分がその時期に埋積され陸化したことが明らかとなった。また,弥生時代(紀元前1世紀)に発生した津波および貞観地震津波(西暦689年)による堆積物を一部で確認した。当初これら2時期の津波は潟湖を伝搬し当地域内を遡上したと考えていたが,両津波発生時に当地域は既に陸化しており,津波は陸上を遡上したことが明らかとなった。 3.宮城県山元町山寺付近の土石流発生に関する調査・研究においては,2600-2500年前に大規模な土石流が発生していたことを求めた。その時期を遡る3800年前までの間には土石流や津波などに起因する堆積物は見いだされず,大規模災害という観点においては相対的に静穏な時期が続いたものと考えられた。 4.宮城県東松島市宮戸島の土石流堆積物および津波堆積物に関する調査・研究において,約4000年前以降,3800年前,3100年前,2650年前,2400年前,2050年前および1650年前に津波によると判断される堆積物の存在を確認したが,その間に大規模な斜面崩壊などの急激な土砂移動は認められなかった。
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