2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501253
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
磯 望 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (10159808)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GIS |
Research Abstract |
研究目的は、土砂災害発生状況(主として発生確率)の経年的変化を、行政・議会資料、斜面堆積層の層厚変化等から解析し、災害の経年的変化の特性をGISソフトで地図化し、経年的土砂災害分布特性等を解明することにある。平成23年度の研究計画は、1)太宰府市・福岡市・唐津市で戦後の災害に関する行政資料の収集、2)1982年長崎災害の災害分布の調査、3)年次別土砂災害被害分布表とこれに基づくGISデータ化と地図化を目的とした。 平成23年度の調査研究は、1)の行政資料収集では、(1)太宰府市資料室のデータ利用について了承を得たが、調査の体制を整える余裕がないため次年度に延期した。(2)福岡市については被災地の詳細な特定については個人情報保護の観点から利用困難となった。このため福岡県砂防課で収集した福岡県内の土砂災害資料を利用して、主要なGIS解析を実施することに計画を変更した。なお、同様の問題が生じる唐津市の調査については、実施を延期した。2)の1982年長崎災害と現況を比較して、崩壊跡地の土層変化を解明する研究計画は、現地調査を実施し、崩壊跡地の現況把握を行い、今後の詳細調査の準備を行った。3)のGISデータ化は、福岡県全域の土砂災害データが入手できたことから、経年的災害発生地点分布図と災害発生密度分布図を試行的に作成した。 このほか、当初の計画に追加して、平成23年1月に発生した霧島火山新燃岳噴火テフラのうち、斜面や渓流に堆積した土砂の挙動解析のための地形測量等の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画と比較すると、一部の行政資料の入手解析作業については遅れが出た。しかし、福岡県全域をカバーした土砂災害の行政資料を入手できたため、当初計画よりもはるかに広域で、土砂災害の情報をカバーすることができた。ただし、情報の精度については最近20年間については良好であるが、これ以前の情報の精度があまりよくないという課題があり、これについては今後もデータ収集作業を継続する必要がある。 このように平成23年度の成果は、一部は予定以上に進行し、一部は進行の遅れがある。しかし、予定外の収集資料で、予定していた行政資料収集の相当部分が補完されるため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画通り、福岡県内の土砂災害発生密度の経年変化を中心にGIS解析を中心に進める。また、昨年度積み残した課題である太宰府市行政資料の調査を進め、太宰府市の土砂災害の詳細資料を作成する予定である。 一方、土砂災害後の経年的変化について、今年度も長崎市で詳細調査を行う。また福岡県内の土砂災害発生地点の現地調査も今年度実施する。また新聞等による災害状況調査も併用して実施する予定である。 新燃岳噴出物の挙動に関する調査も現地調査を継続し、火山山麓の土砂災害発生傾向を予測するための資料としたい。 なお、当初予定した衛星データや空中写真の購入が遅れており、今年度はこちらの整備も進め、平成25年度に予定しているリモートセンシングによる崩壊跡地解析の準備をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、太宰府市の行政資料調査およびGISデータ解析(主として土砂災害経年変化の分析)のための謝金を優先的に利用する予定である。次いで、1982年長崎災害調査と新燃岳噴出物調査、福岡県内土砂災害跡地調査のために旅費を使用し、リモートセンシング用のデータ購入に一部の費用を使用する予定である。
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