2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501253
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
磯 望 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (10159808)
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Keywords | 土砂災害 / 経年的変化 |
Research Abstract |
当該年度(平成24年度)の主な調査・研究実績は、1)前年度に収集した福岡県県土整備部砂防課で取りまとめた年次報告を中心とした土砂災害の地域性の検討、2)平成24年7月3日~14日にかけての九州北部豪雨災害による斜面崩壊とこれに関連する洪水調査、3)霧島火山新燃岳2011年噴火後の斜面降下テフラの挙動調査、4)1982年長崎集中豪雨災害崩壊跡地調査を行った。なお、、この研究と関連して、平成24年度に任命された福岡県教育委員会防災教育推進委員長として、県内小・中・高の学校防災上の課題の調査と教育に当たった。 1)の実績では、福岡県内の土砂災害を,資料精度の比較的揃う1991~2010年の間を中心に検討を行ない、年次別の発生状況,発生地点の推移,平均発生密度等の特徴をあきらかにしたことである。福岡県内の土砂災害の時空分布の傾向を明らかにした。この結果1年間の県内土砂災害は発生地点に、集中豪雨の発生した県内の小地域に限られること、5年間隔の災害発生地点では、2006~2010年の土砂災害発生地点数は、1991~2005年より減少傾向にあること、また1953年から2010年までの58年間の災害発生地点をGISを用いて密度分布図として作成した結果、1平方kmあたり0.5箇所以上となる地区が、太宰府市~直方市にかけてと北九州市八幡西区~同市門司区にかけて帯状に出現したほか、うきは市南部と八女市西南部にも出現することが明らかにした。 2)の調査は平成24年7月に生じ、福岡県内では矢部川流域や筑後川流域の一部などで生じた土砂災害・洪水災害についての緊急的な実態調査を行ったもので、集中的な豪雨により河川上流部で洪水が発生し、渓岸侵食により規模の大きい崩壊が生じたこと。またその影響も加わって下流域の洪水氾濫被害をもたらしたことを明らかにした。 3)・4)は平成23年度から継続した調査である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は当初の研究計画に対して、新しく発生した土砂災害に対する調査を発展させつつある点で、当初の予定以上の成果が得られているが、行政資料や新聞資料に基づく調査に遅れが出た。またGISを利用した解析では一定の成果を示すことができた。 このように平成24年度の研究目的の達成では一部で想定以上の成果が出た反面、この調査や学校防災の指導などのために相当の労力を割かざるをえなかった結果、資料の収集がやや遅れている。 これらの結果を勘案すると、一部で想定以上、一部でやや遅れているが平成25年度に対応できる見込みであるため、全体ではおおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、1)2011年度・2012年度の福岡県砂防課の年次災害報告を追加し、災害発生密度の経年的変化を明らかにすること。2)過去の規模の大きい災害について行政・マスコミ資料を収集整理し、土砂災害の様相の経年的変化を明らかにすること、3)新燃岳噴出物の変化及び長崎豪雨災害崩壊跡地の特徴について衛星データ解析等も加えて取りまとめること、 4)2012年九州北部豪雨災害についての現地調査結果と災害状況について取りまとめ、従来の災害との特徴の違いについて取りまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、長崎・新燃岳・矢部川などの空中写真・衛星データの収集、またGISデータの解析、行政・マスコミ資料の整理等の謝金、報告書作成の費用等に支出するほか、調査未了地域の現地調査のために、旅費も使用する予定である。
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