2012 Fiscal Year Research-status Report
テフラと放射性炭素年代によるアリュート遺跡および火山噴火史に関する日米共同研究
Project/Area Number |
23501254
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
奥野 充 福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 恵治 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50167748)
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Keywords | 噴火史 / アリュート遺跡 / 炭素14年代測定 / 火山ガラス / 主成分化学組成 / テフラカタログ / 環境変化 / 海洋リザーバー効果 |
Research Abstract |
平成24年度は,アリューシャン列島中央部のアダック島において,次の項目を中心に現地調査を実施すると共に,採取試料の分析を行った.(1)西側のシャガク湾沿いの低地でのボーリング掘削,(2)ヘイブン湖近くの湿地でのボーリング掘削,(3)アダグダック火山周辺での地質調査の3項目である.まず,シャガク湾沿いの低地であるが,約4 cal ka BPのサンドイッチテフラまで試料が得られることを期待したが,そこまで古い堆積物ないようで試料は得られなかった.ヘイブン湖近くの湿地では,完新世の湿原堆積物の連続コアが採取され,ここを完新世テフラ層序の模式地とすべくテフラ分析や炭素14年代測定を進めており,サンドイッチ,インターミディエイト,メインの3枚の顕著なテフラについては,どれも溶岩ドームを形成してから爆発的な噴火に至っていることが判明した.この知見は,今後の噴火予測をする上で重要である.さらに,アダグダック火山では,これらのテフラの給源となる可能性が最も有力な火山であり,その検討を行った.現地には明瞭な火口地形は見られないため,噴火の最終段階で溶岩ドームが出現して埋積されたと考えられる.または,海中に没している可能性も考えられる.いずれにせよ,原段階では明瞭な解釈が難しいため,平成25年度もこの周辺の調査を続ける予定である.また,同火山を構成する溶岩の試料も採取しているので,テフラに含まれる岩片との比較検討も今後可能になる見込みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,Hanson博士の考古遺跡の発掘とあわせて,アダック島南西部のテフラ調査を実施し,テフラの分布域の広域化に成功した.さらに,給源火山であるアダグダック火山周辺の調査も行い,その可能性を確認できている.もうひとつの可能性であるグレートシットキン島の調査で,同島西部のテフラの基本層序を確立できれば,アダック島に影響を及ぼした火山噴火の全貌を明らかにできる.これは,最終年度である平成25年度の調査で解明できると考えている.さらにHanson博士とも議論して,アリュート社会に対する火山噴火のインパクトを検討したい.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はHanson博士らのグループと共同で調査しており,考古学・人類学との連結も意識して,テフラの広域対比をテフラの岩石記載学的特徴や層位・年代をもとに確立したい.そして,アリュート遺跡と火山噴火の時空変遷を解明するため,これらのデータを付き合わせる作業をしたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
グレートシットキン島は,無人島であるため定期便および航路がない.平成24年度には同島への移動手段が確保できず調査することができなかった.しかし,平成24年度のアダック島での調査で,漁船チャーターによる可能性など,種々の方法について下調べもしている.平成25年度の調査では,アダック島だけでなく,隣接するグレートシットキン島で調査を実施する予定であり,平成25年度にはそのための船のチャーター代(その他)や旅費を計上している.
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Research Products
(2 results)
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[Book] The People Before: The Geology, Paleoecology and Archaeology of Adak Island, Alaska2012
Author(s)
West, D., Hatfield, V., Wilmerding, E., Lefevre, C. and Gualtieri, L. eds.
Total Pages
325
Publisher
Archaeopress