2011 Fiscal Year Research-status Report
前がん状態にみられる細胞老化とゲノム不安定性における複製ストレス応答機構の役割
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23501257
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山下 孝之 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10166671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 司 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10323643)
関本 隆志 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (20436322)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 発がん / DNA複製 / Y-family polymerase / cyclin E / DNA複製ストレス / 前がん病変 / geminin / ゲノム不安定化 |
Research Abstract |
前がん病変では、発がん遺伝子の活性化がDNA複製ストレスとこれに伴うDNA損傷応答を誘導することによって、(1)細胞老化や細胞死を介する発がん抑制と、(2)ゲノム不安定化による腫瘍の悪性化促進、という相反する作用が見られる。このような複製ストレスの原因のひとつとして、発がんシグナルによるDNA再複製の誘導が考えられているが、その分子機構や役割は十分明らかではない。今年度は、DNA再複製におけるY-familyポリメラーゼ(Y-Pol)の役割を解析し、以下のような知見を得た。 ヒト細胞株U2OSにがん遺伝子cyclin Eを過剰発現すると、細胞はG2 期に留まりつつDNA再複製を続けて高倍数化 (DNA>4N)を示した。これらの細胞ではDNA損傷の亢進にともない、PCNAモノユビキチン化、PCNAと共在するGFP-Y-Polメンバー (Polη, REV1, Polι, Polκ)のfocus形成が観察された。また、Polη, REV1をknockdownしたところ、cyclin Eの発現誘導時にRad51のfocus形成が増加した。したがって、これらY-Polの機能抑制により代替的に相同組み替え修復が亢進した可能性が考えられる。そこで、さらにDNA再複製におけるY-Polの役割を解析するために、GFP-Y-Polを安定発現するU2OS細胞においてgemininをknockdownしてDNA再複製を誘導したところ、DNA量の高倍数化にともなってDNA損傷応答の亢進、PCNAモノユビキチン化、replisomeへのY-Polの集積が観察された。また、EdUで標識したDNAは、モノユビキチン化PCNA、GFP-Polηと共沈した。これらの結果は、DNA再複製にY-Pol(特にPolη)が関与することを強く示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に適した実験モデル系を確立することができ、当初の仮説であるY-familyポリメラーゼを支持する知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた知見を確実にするために、他の実験モデル系やin vivoに置ける検討、より多角的な手法を用いた検討、多くのコントロール実験などを行う必要がある。また、他のストレス応答機構についても解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、試薬など消耗品に当てる。
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Research Products
(4 results)