2011 Fiscal Year Research-status Report
テロメア伸長酵素(hTERT)遺伝子の発現調節機構
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23501258
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 正孝 東京医科歯科大学, 医歯学研究支援センター, 教授 (30180392)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | hTERT / KLF2 / HTLV-1 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
細胞の寿命を打ち消すテロメア伸長酵素(hTERT)は、ほとんどのがん細胞で発現しているが、正常細胞では発現がなく対照的である。正常細胞の中でもTリンパ球は例外の一つで、免疫反応時にhTERTの高い発現がある。 我々は、hTERTプロモーター上に新しいDNAエレメントを同定し、そこに転写因子KLF2が結合することを見出した。今回、KLF2とhTERTの発現をヒト正常T細胞で調べた。休止期のT細胞では、KLF2が発現しておりhTERTの発現はみられなかった。一方、T細胞の増殖を誘導すると、KLF2の転写は止まり、hTERTが発現するようになった。これに加え、すでに発現しているKLF2蛋白は、増殖に伴い細胞質に移動した。これらの結果は、KLF2がhTERTプロモーターに結合して、hTERTの発現を抑制していることを示唆している。この見解は、我々が以前にhTERTプロモーター変異体で得た結果を支持するものである。 hTERTプロモーターの新規エレメントにはCpG配列が2個ある。それらの配列のDNAメチル化を調べた。正常ヒトT細胞では、これらの配列にメチル化は認められなかった。他方、ヒトT細胞株、JurkatとKit225、では2つのCpG配列ともメチル化されていた。成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染細胞株では、CpG配列がメチル化されているものと、されていないものの2つのグループに分かれた。現在、メチル化の有無と細胞株の性質の関連について調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した実験の80%について結果を得ることができており、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に推移していて、原申請通りに実験を進める。特にhTERTプロモーター新規エレメントのDNAメチル化が、どのようにKLF2のエレメントへの結合に影響を与えるかを注意深く解析する。これによりがん細胞でのhTERTの恒常的発現の機構が判る可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進展に伴い、研究費の主たる使用は、1.各種細胞の培養、2.DNAメチル化の解析、3.クロマチンのエピジェネティクの解析の実験に用いる試薬・器具類になる。
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Research Products
(9 results)