2013 Fiscal Year Annual Research Report
ルテランによるがん細胞の接着および運動促進メカニズムの解明
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23501270
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
吉川 大和 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (20274227)
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Keywords | ラミニン / ルテラン / インテグリン / 免疫グロブリンスパーファミリー / 細胞接着 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
ルテランは免疫グロブリンスーパーファミリーの1つであり、基底膜の主要な分子であるラミニンα5鎖の特異的な受容体である。ルテランとラミニンα5鎖の発現パターンから、その結合は癌細胞の接着および運動促進に関与することが示唆されている。これまでに、市販されているルテラン抗体のなかにルテランとラミニンα5鎖の結合を阻害するモノクローナル抗体を見出した。結合を阻害するモノクローナル抗体は非常に有用であり、ルテランのラミニンα5鎖に対する結合メカニズムおよび抗体のエピトープを明らかにした。また顕微鏡用培養装置とタイムラプス撮影装置により、細胞運動を詳細に解析することを可能にした。これを利用し、ラミニンα5鎖を含む組換えラミニン-511が有意にA549細胞の運動を促進することを明らかにした。また、ルテランの発現は癌化によって上昇する。テトラサイクリンの遺伝子誘導発現系によりルテランの発現を誘導し、優位なルテランの発現量がラミニンα5鎖に対する細胞運動を促進することを明らかにした。最終年度では、連携研究者・札幌医科大学 三高俊広教授との共同研究により、肝細胞癌患者血漿中におけるシェディングされたルテランの検出を行った。検出には、独自に作製した可溶化型ルテランをスタンダードとして用い、シェディングされたルテランを定量化するサンドイッチELISA法を開発した。肝細胞癌患者の血漿は、札幌医科大学の規定に沿って採取され、病理診断の付された術前・術後の血漿を用いた。その結果、術後で血漿中のシェディングされたルテランの濃度が減少し、肝細胞癌の腫瘍マーカーとして有用性であることが明らかになった。また、可溶化型ルテランがラミニンα5鎖による細胞運動を抑制することから、シェディングされたルテランが癌細胞の運動を制御していると示唆された。
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Research Products
(17 results)