2012 Fiscal Year Research-status Report
線虫を用いたRASSFと相互作用するチェックポイント分子の探索
Project/Area Number |
23501272
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
堀 利行 立命館大学, 生命科学部, 教授 (70243102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 英樹 立命館大学, 生命科学部, 助教 (20550156)
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Keywords | Rasf-1 / Rab-39 / Rif1 / Rassf1A / チェックポイント / DNA合成阻害 |
Research Abstract |
RASSFの線虫ホモローグT24F1.3(Rasf-1と命名)と相互作用する分子をyeast two hybrid systemを用いてスクリーニングすることにより、rab-39、rab-1、F11E6.7 (Rif1)を同定した。このうち、rab-39については、線虫の酸化ストレス応答経路において、T24F1.3とRAB-39が同一の経路上に存在していることを明らかにするとともに、哺乳類のRASSF1AととRab-39との相互作用を確認し、これらの分子間の相互作用は種を越えて保存されていることを明らかにした(Genes to Cells 18:203-210, 2013)。 一方、Rif1に関して、酵母ではテロメア長の制御に関わっているが、哺乳類においてはDNA二本鎖切断で誘導されるATMキナーゼに依存してDNA損傷部に集積し、細胞周期S期のチェックポイント機構に関与することが報告されている。RASSFもRif1同様、ATMキナーゼの介するチェックポイントの活性化に関わることから、RASSF/RASF-1とRif1/F11E6.7が相互作用する蓋然性が高いと推理した。そこでまず、共免疫沈降法により哺乳類細胞内におけるRASSF1A/RASF-1とRif1/F11E6.7の相互作用を調べた。その結果、線虫のRASF-1とF11E6.7の相互作用はin vitroで確認するのが困難であったが、ヒトのそれぞれの相同体であるRASSF1AとRIF1の相互作用が確認された。さらに、線虫個体におけるF11E6.7の機能を調べるために、C.elegansのF11E6.7変異型と野生型を用いて、幼虫および卵をhydroxyureaの存在下に培養してそれぞれの寿命および卵の孵化率を比較したところ、野生型に比較して変異型では寿命と卵の孵化率が有意に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫のRASSFホモローグであるT24F1.3(rasf-1)をbaitとして得られた候補遺伝子のうち、rab-39については、線虫の酸化ストレス応答においてT24F1.3と同一のシグナル伝達経路上に存在していることを明らかにし、これらの分子間の相互作用が種を越えて保存されていることと合わせて論文にまとめることができた(Genes to Cells 18:203-210, 2013)。F11E6.7(Rif1)については、HEK293T細胞への一過性発現系でRasf-1との相互作用を確認できなかったが、それぞれのヒトホモローグ間の相互作用は確認できている。以上より、おおむね順調に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
F11E6.7とT24F1.3のそれぞれの変異型およびfeeding RNAiによるそれぞれのノックダウン実験を組み合わせて、さまざまなDNA障害を起こす薬剤の存在下に卵の孵化や幼虫の寿命を比較してepistasis解析を行い、これらの遺伝子が機能的に関連しているかどうかを調べる。また、ヒトの培養細胞を用いて、siRNAやshRNAによってRif1およびRASSF1Aのノックダウンを行って、機能的関連性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は小額の未使用金が生じた。必要な実験備品はほぼ揃っているので、繰り越し金と合わせて研究費は主に消耗品費および研究成果発表のために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)