2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化系列の理解に基づく肺癌幹細胞の形成維持機構の解析
Project/Area Number |
23501281
|
Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
長田 啓隆 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (30204176)
|
Keywords | 肺がん / がん幹細胞 |
Research Abstract |
昨年度までの解析で、神経内分泌分化を誘導する転写因子ASH1によって発現制御されるlincRNA群を見出し、これらASH1により制御されるlincRNAの中から、複数のSphere細胞で共通して発現亢進しているlincRNAとして、ASH1-upregulated lincRNA-3 (AU-linc3)及びAU-linc6 (Lab name)を同定した。この知見によりASH1シグナルがlincRNAを介して肺癌幹細胞の形成・維持に関与する可能性が示唆された。そこで今年度は、その可能性を検討するために、AU-linc3及びAU-linc6の機能解析をRNAi法を用いて行った。これらAU-lincの発現が亢進したSphere細胞の親細胞である肺癌細胞株にAU-linc3及びAU-linc6に対するsiRNAを導入し、癌幹細胞との関連が想定されているSide population (SP)分画に対する作用を検討した。するとAU-lincのノックダウンにより、SP分画がAU-linc3で最大40%、AU-linc6で最大80%の減少が見られた。対照として、がん幹細胞維持に関与することが知られているYAP1及びTAZのノックダウンを行い、SP分画が同様に減少することを確認している。また、これらのAU-lincのノックダウンは細胞増殖に関しても強い抑制的な作用が見られた。これらの結果は、肺癌幹細胞の形成・維持に、lincRNAを介してASH1シグナルが関与する可能性が示唆され、本研究の目的である神経内分泌という肺癌の細胞系列と肺癌幹細胞形成との関連が示唆された。今後、AU-linc3及びAU-linc6の強制発現によるSP分画・Sphere形成能・造腫瘍能等に対する作用及び、これらlincRNAに結合する蛋白分子群の探索を進めたい。
|