2012 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞が構築する擬似血管を標的とした新規がん免疫療法の開発
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23501288
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宇都口 直樹 帝京大学, 薬学部, 教授 (80276633)
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Keywords | 擬似血管 |
Research Abstract |
本年度は、擬似血管をin vitroの系で構築する最適条件の検討を行い、至適な培養条件(マトリゲル濃度、細胞播種濃度、時間など)を得た。 得られた細胞を抗原とし、マウスに免疫し、擬似血管に対する抗体価の上昇を確認した。 抗体価の上昇したマウスより脾細胞を摘出し、ここから一本鎖抗体提示ファージディスプレイ法を用い、抗体ライブラリーの作製を行った。すなわち、cDNAを回収後、PCR法を用いて抗体のVL、VH領域を連結した1本鎖抗体ライブラリを創製した。 現在、ライブラリーの評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、相模湖キャンパスから板橋キャンパスに移転し、研究室新規購入機器の納入が遅れ、実験に支障をきたしていた。また動物室、中央機器室の使用もすぐにはできず、実験に支障をきたしていたため、研究の開始予定が大幅に遅れた。 夏あたりより、機器も揃い、また施設も稼働し、現在は充分に研究を行える環境であり、遅れをとりもどしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
先に作製した免疫抗体ライブラリを用いて、擬似血管の細胞表面上に存在する擬似血管特異的な抗原蛋白質を認識する抗体の創出を目指す。具体的には作製した抗体ライブラリを用いて擬似血管に発現する分子との結合親和性を利用したセルパンニング操作を行う前に、がん細胞、血管内皮細胞と結合させて非特異的に結合するファージを除くサブトラクションセルパンニングを行うことで、擬似血管特異的抗体の選別を図る。さらに、マウス腫瘍組織切片における擬似血管への特異的結合、in vivoにおける本抗体の腫瘍組織集積性を評価し、特異性が高くかつ、腫瘍組織への集積性が高い抗体を選別する。さらにヒトへの臨床応用の基礎検討として、ヒト病理組織切片での結合性を評価する。 さらに、(1)抗擬似血管抗体をキャリアー分子として用いたがんターゲティング製剤の創製、(2)擬似血管ターゲティング製剤のin vivo抗腫瘍効果の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金額が多く残ったのは、キャンパスの移転により実験の遂行期間が短かったためであり、その遅れを来年度は取り戻すために、物品費としてそのまま使用する。来年度は多くの成果が期待されるため、海外での成果発表を予定し、旅費30万円を計上する。
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