2013 Fiscal Year Annual Research Report
再生医学的手法を取り入れた新しいがん免疫細胞療法の開発
Project/Area Number |
23501291
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 はるか 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (70392181)
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Keywords | iPS細胞 / 腫瘍免疫 / 分化誘導 / リプログラミング / T細胞 / DLI |
Research Abstract |
本研究は、細胞リプログラミング技術を従来の腫瘍免疫療法に取り入れ、新しく魅力的な新規腫瘍免疫療法を開発を企図するものである。具体的には、白血病の根治目的で行われる骨髄移植のドナー由来細胞をiPS細胞化し、そこから誘導したT系列細胞をDLI療法に用いることで、半永久的なDLI治療を目指すものである。我々はその有効性をマウスモデルで検証した。 1.iPS細胞由来T細胞の抗腫瘍効果の検討(DLIマウスモデルの検討) 線維芽細胞由来iPS細胞をT細胞へ分化誘導し、生成したT細胞を骨髄移植後白血病再発マウスモデルにDLI治療細胞として1回又は2回移入した。無治療群では、全てのマウスが30日以内に死亡するのに対し、治療群では治療回数依存的に有意に延命効果が認められることがわかった。 2.iPS細胞由来T細胞のアロ細胞反応性について DLI療法が奏効する機序としては、移入した細胞によるアロ反応性によるものが考えられている。そこで、iPS細胞から分化誘導したT系列細胞のアロ細胞反応性についてアロ細胞混合試験において評価した。iPS由来T系列細胞は、予想されるとおり、Syngeneic細胞に増殖反応を示さなかったが、アロ細胞に対しても増殖反応を示さなかった。よって、本DLI療法の奏効機序については、移入細胞のアロ反応性によるものではない可能性が示唆された。 3.DLI治療奏効の機序ついて DLI療法施行後のマウス体内における免疫細胞組成の変化について解析した。DLI施行後マウス末梢血において、レシピエントCD8+T細胞比率が有意に増加していることが確認された。またNK細胞比率も増加傾向にあり、DLI療法の奏効に寄与している可能性が示唆された。一方で、マウス体内に残存するドナーT細胞は移入後13日後の脾臓にて1%未満と僅少であり、奏効機序については更に精査する必要がある。
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Research Products
(7 results)