2013 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌患者尿中に存在するマイクロRNAを基点とした新規診断法の開発研究
Project/Area Number |
23501298
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80347103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 一盛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00404517)
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Keywords | microRNA / 膀胱癌 / 診断マーカー |
Research Abstract |
前年度までの実験を基盤に、前向き試験を行った。患者背景は平均年齢65.8歳(男性110例、女性77例)であり、最終的な診断は尿路上皮癌56例、尿路結石35例、尿路感染症51例、その他44例であった。以前、後ろ向き研究で膀胱癌診断に有望とされていた2つのmiRNA (miR-96, miR-183)は、今回の前向き試験では高頻度の偽陽性(False positive)が観察された。特に、尿路結石症での偽陽性率が高く(35%)その原因として赤血球の混入が考えられた。実際に末梢血を尿に混入した肉眼的血尿モデルではmiR-96, miR-183の発現が高値になることが確認された。セルソーターで赤血球の分離を行うことも検討したが、実際の臨床応用ではコスト的に問題があると思われたため、再度膀胱癌のマイクロRNA発現プロファイルを検討して別のマイクロRNAの候補を選択した(miR-X)。 このmiR-Xの測定値は膀胱癌患者尿において有意に高く(P < 0.001)、病理学的事項(ステージ・グレード)とも有意な相関を示した( P = 0.003, P = 0.0115)。Receiver-Operator-Curve (ROC)曲線解析において、高感度(>60%)、高特異度(>80%)をもって癌と非癌の区別が可能であった。特許案件のため詳細な報告は差し控えるが、本研究により、安定した尿中マイクロRNAの検出法を確立できたと考えられる。当初の計画に従い有望な腫瘍マーカーを開発でき、既に企業(知的財産戦略ネットワーク株式会社)への特許の譲渡が成立しており、特筆すべきと考えられる。miR-Xによる遺伝子発現調節の機構を解明については、miR-X発現導入細胞株の遺伝子発現解析や細胞機能解析が進行中である。
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