2012 Fiscal Year Research-status Report
単層培養からの自然発生スフェロイドの特性解明と阻害剤の探索研究
Project/Area Number |
23501310
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
上原 至雅 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (50160213)
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Keywords | 乳がん / 幹細胞 / 造腫瘍性 / 遺伝子発現 / Wntシグナル / DKK1 / ALDH |
Research Abstract |
乳がん細胞株を高密度培養することにより生じた自発的浮遊細胞の遺伝子発現パターンを次世代シークエンサーで解析した。自発的浮遊細胞は、通常のモノレイヤー培養、強制的浮遊培養とは大きく異なる遺伝子発現パターンを示し、特にWntやTGF-βシグナルに関与する遺伝子群の発現変動が大きかった。中でも、DKK1遺伝子の発現上昇は再現性が良く、自発的浮遊細胞のマーカーとして使える可能性が示された。幹細胞では、Aldehyde dehydrogenase (ALDH) 活性が上昇していることが知られている。Aldefluor試薬を用いて、自発的浮遊細胞のALDH活性を解析したところ、顕著な活性上昇が観察された。また、NSGマウス(NOD-scid, IL2 receptor gamma chain knockout マウス)の皮下へ自発的浮遊細胞を移植し、造腫瘍性を解析したところ、モノレイヤー培養の細胞に比して造腫瘍性が高いことを示唆する結果を得た。今後、自発的浮遊細胞の造腫瘍性の精査と抗がん幹細胞活性を有する化合物の探索を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発的浮遊細胞の遺伝子発現パターンを次世代シークエンサーで解析した。接着培養細胞と強制浮遊細胞との3群比較において、自発的浮遊細胞の遺伝子発現パターンは他の2群と比べ大きく変化していた。楕円を用いた4つの集合のVenn diagramにより、発現に10倍以上差があったものとして、約200個に遺伝子の上昇が見られた。逆に減少したのは128個であった。そのうち、幹細胞に関連するいくつかの遺伝子について、real-time PCRで実際の発現量を解析し再現性が確かなものとして、TGFbeta、Wntシグナル系に関わる遺伝子群の発現の上昇や減少を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞の性質が培養日数(継代数)で変化することを見出した。すなわち、DKK1とFN1遺伝子の発現については自発的浮遊細胞でも、短期培養では発現は高いものの、長期培養では発現が低下するということが分かった。そこで、DKK1の発現量でモニターすると同時に、幹細胞のもう1つの指標として、多くの幹細胞で高発現が知られているALDH活性も指標に加えることで、幹細胞様の集団をモニターできる可能性が示された。今後、造腫瘍性との関連性を追求する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
造腫瘍性を解析したところ、モノレイヤー培養の細胞に比して造腫瘍性が高いことを示唆する結果を得た。今後、自発的浮遊細胞の造腫瘍性を精査するとともに、抗がん幹細胞活性を有する化合物の探索を試みる。
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Research Products
(6 results)