2012 Fiscal Year Research-status Report
上皮成長因子受容体阻害剤耐性肺癌におけるPI3キナーゼ経路を中心とした耐性克服
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23501311
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
猶木 克彦 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40265806)
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Keywords | 耐性肺癌 / 上皮成長因子受容体阻害剤 / PI3キナーゼ / 分子標的治療 |
Research Abstract |
当研究室で作成したEGFR阻害剤耐性肺癌細胞株(HCC827、PC9由来)を使用し、EGFR経路とともに近年注目されているFGF/FGFR経路に関し、特異的阻害剤やsiRNAを用いて、最大の効果を及ぼす組み合わせを検討した。 EGFR阻害剤(gefitinib)耐性化PC9細胞株(PC9GR)およびHCC827細胞株において、耐性化機序を検討した。既知の耐性遺伝子変異であるEGFR T790Mはどちらの細胞株においても検出されなかった。一方で、耐性に関与すると報告のあるMET増幅が耐性HCC827細胞株で認められたが、PC9GRでは認められなかったため、このPC9GR細胞株での耐性機序をさらに検討することとした。cDNA microarrayを用いた検討で、耐性化PC9細胞株(PC9GR)では、FGF2およびFGFR1が親株(PC9)に比較して高発現していることが明らかとなった。そこで、FGFR阻害剤であるPD173074を用いて、gefitinibと本薬剤を併用することでの効果を検討した。併用により、PC9GR細胞株のgefitinib感受性が回復することが確認され。このことは、FGF2またはFGFR1に特異的なsiRNAを用いることでも同様に確認された。これらの事から、FGF2-FGFR1経路を介した自己分泌が、EGFR阻害剤耐性機序の一つとなりうることが示された。以上のことを、Mol Cancer Res(Published OnlineFirst March 27, 2013)へ発表するとともに、AACR2013年次総会でも報告した(Terai H, Naoki K, et al)。 今後さらに、この研究を発展させ、EGFR阻害剤耐性肺癌における他のシグナル伝達経路の関与を明らかにし、新たな治療標的となる可能性を追求し、患者さんの予後を改善する治療を開発したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討をまとめて、Mol Cancer Res(Published OnlineFirst March 27, 2013)へ発表するとともに、AACR2013年次総会でも報告した(Terai H, Naoki K, et al)。 この研究を発展させるために、遺伝子導入細胞株での検討、具体的には線維芽細胞増殖因子(FGF)を導入した肺上皮細胞の形質転換の検討(遊走能、コロニー形成)、免疫不全マウスでの腫瘍形成能の研究を行い、その一部を、AACR2013年次総会で報告した(Ishioka K, Naoki K, et al)。さらに、EGFR阻害剤耐性肺癌患者由来検体での検討を逐次行っており、組織型の変化というより大きな問題を提示する症例に関して報告を行った(荒井、猶木、他。日本肺癌学会関東支部会2013年3月)。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株で得られた知見が臨床検体でも実際に起きているかの検討を含め、また、新規治療薬の基礎的研究を含め、さらに研究を進めて行く。 1)肺癌細胞株を使用した検討:これまでの知見をさらに深めるため、さらに異なる細胞株を使用して検討していく。さらに、ALKやKRASといった新規分子標的薬に関しての耐性機序に関しても検討するため、新規分子標的薬に対する耐性肺癌細胞株を作成していく。また、今回明らかになった線維芽細胞増殖因子(FGF)経路の癌における重要性を検討するため、FGFを導入した肺上皮細胞の形質転換、免疫不全マウスでの腫瘍形成に関してさらに研究をすすめ、標的治療薬の効果も検討していく。 2)臨床検体を用いた検討:EGFR阻害剤使用後、増悪を認めた患者さんから腫瘍検体を採取し、耐性化の機序を検討する。臨床検体由来の細胞株を樹立を試みており、樹立できた細胞株において、基礎的研究を行っていく。既知の耐性化遺伝子変異の検索に加えて、EGFR、FGF/FGFR経路を含むシグナル伝達経路の変化を検討していく。新規標的因子を最先端の技術を用いて検出することが可能かを検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の免疫不全マウスの購入、網羅的遺伝子解析の実施費用に充てる予定である。 本年度は、in vivoの系での実際の効果に関して、免疫不全マウスでの検討も行っていくこと、また、特に臨床検体および臨床検体由来細胞株を使用した次世代シークエンシングを含めた網羅的遺伝子解析を行うことから、多額の費用がかかることが見込まれている。本年は総括的な年度に当たるため、この解析を適切に行い、さらなる研究の発展につなげたい。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Activation of the FGF2-FGFR1 Autocrine Pathway: A Novel Mechanism of Acquired Resistance to Gefitinib in NSCLC Cells.2013
Author(s)
Terai H, Soejima K, Yasuda H, Nakayama S, Hamamoto J, Arai D, Ishioka K, Ohgino K, Ikemura S, Sato T, Yoda S, Satomi R, Naoki K, Betsuyaku T.
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Journal Title
Mol Cancer Res.
Volume: March 27, 2013
Pages: MCR-12-0652
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Activation of FGF2-FGFR1 pathway in EGFR-mutant lung cancer cell line with long-term gefitinib exposure2013
Author(s)
Terai H, Soejima K, Naoki K, Yasuda H, Satomi R, Nakayama S, Yoda S, Ikemura S, Sato T, Ishioka K, Arai D, Ohgino K, Tani T, Kuroda A, Hamamoto J, Betsuyaku TTerai H, Soejima K, Naoki K, Yasuda H, Satomi R, Nakayama S, Yoda S, Ikemura S, Sato T, Ishioka K, Arai D, Ohgino K, Tani T, Kuroda A, Hamamoto J, Betsuyaku T
Organizer
2013 AACR Annual Meeting
Place of Presentation
USA (Washington DC)
Year and Date
2013-04-10
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[Presentation] FGF9 overexpression promotes tumorigenic potential of non-small cell lung cancer (NSCLC) cells, and is associated with poor prognosis in NSCLC patients2013
Author(s)
Kota Ishioka, Kenzo Soejima, Hiroyuki Yasuda, Keiko Ohgino, Satoshi Yoda, Takashi Sato, Junko Hamamoto, Daisuke Arai, Tetsuo Tani, Aoi Kuroda, Katsuhiko Naoki, Tomoko Betsuyaku
Organizer
2013 AACR Annual Meeting
Place of Presentation
USA (Washington DC)
Year and Date
2013-04-10
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[Presentation] Expression of fibroblast growth factor-9 is associated with poor prognosis of resected non-small cell lung cancer patients.
Author(s)
Keiko Ohgino, Kenzo Soejima, Daisuke Arai, Kota Ishioka, Takashi Sato, Hideki Terai, Shinnosuke Ikemura, Satoshi Yoda, Junko Hamamoto, Katsuhiko Naoki, Tomoko Betsuyaku.
Organizer
AACR Annual Meeting 2012
Place of Presentation
USA (Chicago)
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