2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501321
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
川田 学 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・沼津支所, 主席研究員 (20300808)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / 生理活性物質 / 間質 |
Research Abstract |
多くの固形癌は癌細胞だけでなく周辺の間質が混在する形で成り立っている。我々は間質の中でも特に繊維芽様細胞(癌間質細胞とも呼ぶ)に着目した。繊維芽様の間質細胞と癌細胞の分泌因子や接着因子を介した癌―間質相互作用は、癌の増殖を正にも負にも制御することが明らかにされつつあり、その重要性が注目されている。我々はこの癌―間質相互作用を制御することで癌を抑制する新しいタイプの癌治療法および抗癌剤の開発を目指した創薬研究の基礎を確立することを目的として、本研究では様々な癌種を用いたスクリーニング系を構築して癌―間質相互作用を調節する低分子化合物を数多く見出し、その作用機構および抗癌活性を検討する。初年度である平成23年度では、膵癌、乳癌、大腸癌と各臓器由来の間質細胞を用いた新たな共培養スクリーニング系の構築を行うとともに、既に構築した前立腺癌、胃癌、肺癌の共培養スクリーニング系を活用して活性物質の探索を行い、また既に得られている活性物質の作用機構を解析することを計画した。その結果、ヒト膵癌細胞4株、ヒト大腸癌細胞6株のヌードマウスを用いたin vivoの造腫瘍性に与える各臓器由来の間質細胞の影響を検討し、in vitroの共培養実験系を構築した。また、ヒト乳癌細胞5株についてもほぼ検討を終了した。一方、既に構築した前立腺癌、胃癌、肺癌の共培養スクリーニング系を活用して活性物質の探索を行い、胃癌の共培養スクリーニング系でいくつかの微生物培養液に活性を見出した。その1つは、精製し構造決定した結果、新規化合物であることが分かった。この化合物は胃がん細胞のみの培養よりも間質細胞と共培養した時の増殖を強く阻害した。新しい実験系の構築がほぼ確立できたことは今後の研究に重要であることは言うまでもないが、探索研究の結果、天然から新規化合物を発見できたことは本研究において極めて有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた平成23年度の実験計画と研究実積を照らし合わせると、新たな共培養実験系の構築を計画した膵癌および大腸癌の実験系を確立することができたが、乳癌については再現性の試験を残すことになってしまった。また、既に得られた活性物質の作用機構の解析も実験計画には挙げていたが実施できなかった。その理由は、探索研究の方から新規化合物が得られたため、研究の重点を新規化合物の単離精製に置いたためである。しかしながら、本研究の最大の目標である新しい活性物質を発見できた点は極めて重要であり、初年度で達成できたことは今後の計画を進める上でも順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度でやり残した乳癌の共培養実験系の再現性試験について検討し、既に確立した膵癌および大腸癌の実験系と合わせて実際に稼働させる。これらの共培養実験系をスクリーンング系とした活性物質の探索を続ける一方で、初年度に得られた活性物質、特に新規化合物について抗がん剤としての可能性を追求する。具体的には、動物実験用に大量のサンプルを培養等によって得、ヌードマウスを用いたin vivoのヒト癌細胞移植モデルを用いて、抗がん活性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に構築した新たな3系のスクリーニング系を稼働させるとともに、初年度のスクリーニングを継続する。得られた活性物質の作用機構の解析を進め、さらに有望な化合物について生体イメージングを用いたマウスでの抗癌活性を評価する。従って、研究費は細胞培養用の試薬とプラスチック器具および実験動物などの消耗品に充てる計画である。
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Research Products
(2 results)