2011 Fiscal Year Research-status Report
腹膜播種病巣制御ためのびまん型胃がん細胞に特異的な遺伝子治療ベクターの開発
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23501322
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
佐々木 博己 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (60235265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 宣久 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (80466200)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 癌 / 胃がん / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
びまん型胃がん細胞で特異的に発現する遺伝子を選抜するため、22例のびまん型胃がん組織と12例の充実型胃がん組織のマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルを比較し、びまん型で特徴的に発現する約700種の遺伝子を選抜した。その中で特にびまん型の多くで強く発現する遺伝子にMYH11, LIPF, MFAP4, SERPINF1があったが、胃がん細胞株での発現は弱く、主に線維芽細胞等の豊富な間質由来の遺伝子であったため、引き続き遺伝子探索を進めた。一方、びまん型胃がんに特徴的な腹膜再発に関与し、腹膜中皮では発現しないケモカイン受容体CXCR4およびCXCR7遺伝子および充実型胃がんで遺伝子増幅を示し、びまん型胃がんでも強く発現するがん遺伝子候補GSDMB遺伝子に着目し、そのプロモーターをルシフェラーゼレポーターに組み込み、プロモーター活性を調べた。ヒトの腹膜中皮細胞MeT-5Aで活性が弱く、6種のびまん型胃がん細胞株44As3, 58As9, 60As6, HSC44, HSC58, HSC60で活性が強いプロモーターを期待したところ、GSDMBプロモーターが6種のびまん性胃がん細胞株中5株で強い活性を示し、腹膜中皮細胞では基本レポーターべクター程度の活性を示すのみだった。そこで、このGSDMBプロモーターを細胞殺傷用遺伝子ベクターに組み込む準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画では、びまん型胃がんで発現し、腹膜中皮では発現しない遺伝子のマイクロアレイデータに基づいた選抜、びまん型胃がん細胞での遺伝子プロモーターのレポーターアッセイ、ウイルスベクターによる腹膜播種モデルマウスでの発現の局在性の検討であった。マイクロアレイによる候補遺伝子の選抜を進め、中皮で活性を示さず、びまん型胃がん細胞で活性を示す遺伝子プロモーターを1つ見出せた。In vivoの検討には、至らなかったが、80%の達成度と評価したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討でも明らかなように、腹膜中皮では発現せず、胃がん細胞でのみ発現するCXCR4やCXCR7のプロモーターは細胞への一過性の発現ではメチル化やクロマチン構造の影響でin vivoでの発現パターンを再現することは出来ないことも多い。したがって、遺伝子発現のパターンから、プロモーターを新に選抜する研究は残すものの、次年度はGSDMBプロモーターをECFPに繋げたベクターでモデルマウスでの発現の検討を優先させるのが妥当と考える。計画の通り、胃がん細胞の殺傷に有用な遺伝子の選択は行う。一方、CAGやCMVプロモーターのような強い治療ベクターの評価も必要なことから、CAGプロモーターの付いたアデノウイルスベクターに組み込んだアポトーシス誘導遺伝子GSDMA(当初計画にある)による腹膜再発抑制効果を見る研究も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の請求額のうち直接経費120万円と平成23年度の未使用額約10万円を合わせた130万円は、ほとんど物品費(消耗品費)として使用する計画である。
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