2013 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水の浸潤・脱水過程における界面形状変化の精密計算と物質輸送解析への応用
Project/Area Number |
23510003
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川西 琢也 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (80234087)
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Keywords | 土壌 / 浸潤・脱水 / シミュレーション / GPGPU / 粒子法 / 濡れ / 曲面 / 種数 |
Research Abstract |
本研究は、近年注目されている粒子法を用いて、土壌中の水の浸潤・脱水の過程をシミュレートし、かつ、物質の輸送解析に応用させようというものであった。粒子法は、特に、細かい界面形状の再現性が高いこと、空間を刻むのはなく、粒子を使って流体の動きシミュレートするので、大規模な問題にも適用が容易であるという点が特徴である。研究代表者は、粒子法の中でも、液と粒子の間のポテンシャルを用いて濡れを表現できるMPS法に注目し、これを用いて、土壌粒子間に水が浸潤、あるいは脱水する際にできる水と空気との界面形状を精密に推算できるのではないか、と考え、本課題を申請した。 しかしながら、本研究を進めるうえで、この方法では、うまく界面形状が計算できないことが明らかとなってきた。粒子法は、水滴が飛び散る過程などの界面形状はうまく計算でき、また、あまり濡れない表面での水の界面形状はうまく計算できるが、完全に濡れる表面での界面形状の計算はさほど得意ではないようである。実際、土壌粒子が完全に濡れる条件を与えてやると、物理学が示す通りに、表面にびっしりと水粒子が並ぶことになる。ここはよいのだが、このあと粒子内の浸潤、脱水の過程で、どうしても表面形状を保持できず、計算粒子が発散(文字通り飛び散る)してしまう。これを数値的にダンピングするため、著しく大きな粘度を与えるなどの方法をこころみたが、いずれもうまくいかず、粒子内の水の界面形状を精密に再現するには至らなかった。 研究を進める中で、問題が、どうやら、界面の形状が大きく変わる、幾何学的に言えば「種数」が変わる際のカタストロフ的ジャンプに、粒子法が追随できていないことにあるらしいことが分かってきた。補助期間は終了したが、この問題への対応にはほとんど資金を必要とせずにできるので、今後もこの課題に取り組んでいく。
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