2013 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度二酸化炭素と窒素施肥が農耕地土壌有機物の化学特性や元素滞留に与える影響
Project/Area Number |
23510008
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
上野 秀人 愛媛大学, 農学部, 教授 (90301324)
|
Keywords | 土壌 / 土壌有機物 / 高濃度二酸化炭素 / 13C / 15N / 腐植物質 / 窒素施肥 / FACE |
Research Abstract |
安定同位体炭素(13C)でラベルした高濃度二酸化炭素を連続暴露し、安定同位体窒素15Nを10年間連続施用した圃場において牧草を栽培し、高濃度二酸化炭素状態と施肥が土壌炭素動態に与える影響について研究を行った。 二酸化炭素濃度が10年間上昇しても土壌中の炭素含量は有意に変化しなかった。サンプル土壌中の各種窒素化合物中の窒素量が全窒素量に占める割合は、高い方から順にアミノ酸、アミド、非加水分解物、アミノ糖、硝酸、アンモニアの順になった。無機態窒素と易分解性窒素化合物を合わせた割合が8割程度を占め、高いことが示された。高濃度CO2条件下において、暴露されたCO2は土壌に蓄積され、非加水分解性有機化合物画分へ優先的に蓄積する傾向が見られた。窒素施用効果については、窒素施肥量を高めるほど、肥料窒素濃度が高まるが、その割合は、高濃度CO2条件の方が高かった。アミノ酸、アミド、アミノ糖については、高濃度CO2と高窒素の交互作用も見られた。 エステル結合フェノール酸およびエーテル結合フェノール酸については、複数のピークが観察された。最も高いピークはバニリン酸であった。他の主要な成分として、バニリン、シリンガアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトシリンゴン、シリング酸、フェルラ酸、フェノールが同定された。抽出法により成分比率の違いがやや認められた。エーテル結合フェノール酸は、エステル結合フェノール酸よりδ13Cが低く、大気炭素の取り込み速度が速いことが明らかとなった。また高濃度CO2ほどフェノール酸の炭素回転率が高くなる傾向もはっきり確認された。しかしながら、施肥窒素の影響はほとんど受けないと言える。
|
Research Products
(21 results)