2011 Fiscal Year Research-status Report
珪藻ブルーム期における珪藻食渦鞭毛虫の摂食量の評価
Project/Area Number |
23510012
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
太田 尚志 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (20364416)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | スペイン |
Research Abstract |
本研究では、珪藻-渦鞭毛虫間の食物連鎖過程を直接的に定量評価することを目標とし、研究初年度(平成23年度)は、実験材料生物の準備が整い次第、室内実験系において(1)顕微鏡観察と分子同定技術を併用して種レベルでの被食-捕食関係の実態を明らかにすること、(2)渦鞭毛虫の珪藻摂食量を推定するために必要な生理パラ―メタ各種と環境因子の関係を把握することを具体的な目的に掲げた。しかし、東日本大震災に原因する研究室電源の長期停電とインキュベータの故障により、申請者が準備していた実験材料生物のほとんどを滅失(餌料藻類については41株中39株、渦鞭毛虫については全4株を滅失)したため、当初研究計画は一時中止を余儀なくされた。そこで23年度は、まず、実験設備の復旧、滅失した実験材料(餌料藻類株および渦鞭毛虫株)の収集など、研究環境の再構築を最優先課題とした。実験対象の渦鞭毛虫は現場海水から単離採取後に維持培養して株を確立するよりほかないが、そのためには事前に複数の餌料藻類が必要となるため、まずは餌料藻類の入手を急いだ。その結果、平成23年度末までに他研究機関からの分与により17株、現場海水からの単離により12株の計29株を確保することができた。渦鞭毛虫については、実験対象とする渦鞭毛虫種の出現時期が春季から夏季に限られるため、初年度末(平成24年3月)より単離作業を開始した(現在も継続中)。その結果、現場海水から2種の単離培養に成功した。これにより、珪藻食を行う渦鞭毛虫種の把握に向けての技術開発(形態観察および分子同定技術を利用した珪藻食判別法と種同定法の確立)および、摂食生態を把握するために必要となる代謝速度(摂食速度、増殖速度、排泄速度)の測定および観察の室内実験に着手する準備が整った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H23年度は、研究環境が整い次第、珪藻食を行う渦鞭毛虫種の把握に向けての技術開発(形態観察および分子同定技術を利用した珪藻食判別法と種同定法の確立)および、摂食生態を把握するために必要となる代謝速度(摂食速度、増殖速度、排泄速度)の測定および観察の室内実験に着手する予定でいたが、実際には、実験設備の修復と材料株の確保に多くの時間を費やしたため、計画の進行に大幅に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究環境が整ったため、初年度に実施されなかった研究計画を本年度(平成24年度)に後送りして実施する。具体的には、(1)珪藻食を行う渦鞭毛虫種の把握に向けての技術開発(形態観察および分子同定技術を利用した珪藻食判別法と種同定法の確立)、(2)摂食生態を把握するために必要となる代謝速度(摂食速度、増殖速度、排泄速度)の測定および観察の室内実験、(3)珪藻に対する渦鞭毛虫の摂食圧を推定するための現存量測定と現場実験を実施する。ただし、(3)については、当初計画では平成24年度と25年度に計2期を予定していたが、計画全体の進行が大幅に遅れているため、平成24年度の実施は見送り、25年度のみ実施することとする。なお、研究計画最終年度には1年間の補助事業期間延長の申請をすることを検討中である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に実施できなかった渦鞭毛虫の摂食実験を行うため、摂食行動の記録・解析に使用するビデオカメラおよび顕微鏡に装着するためのアダプターを購入する。分子生物学的解析用の試薬、飼育実験用の消耗器具を購入する。海外研究協力者( R. Massana博士、A.Calbet博士)との情報交流を目的としたスペインへの渡航費用を計上する。
|