2013 Fiscal Year Research-status Report
珪藻ブルーム期における珪藻食渦鞭毛虫の摂食量の評価
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23510012
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
太田 尚志 石巻専修大学, 理工学部, 准教授 (20364416)
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Keywords | 珪藻食渦鞭毛虫 / 摂食速度 / 増殖速度 |
Research Abstract |
本研究では、珪藻ブルーム期の珪藻と渦鞭毛虫の被食-補食関係を種レベルで明らかにし、さらに渦鞭毛虫による珪藻摂食量を実測することで、珪藻-渦鞭毛虫間の食物連鎖過程を直接的に定量評価することを目標とする。本年度は、主として培養実験による対象生物の代謝パラメータに関する情報収集を優先作業とした。室内実験系では、平成24年度に引き続き、現場から単離した渦鞭毛虫3種(無殻渦鞭毛虫二種、有殻渦鞭毛虫1種)を用いた代謝速度測定実験を行った。その結果、対象生物についての増殖速度、摂食速度および生理パラ―メタ各種と環境因子の関係を把握することができた。これらの成果は、現場環境因子から渦鞭毛虫の現存量、生産量、珪藻摂食量の推定精度を上げるための重要要素であり、本研究における主要成果の一つと言える。また、野外調査実験では、石巻沿岸域の珪藻ブルームの終焉時期において、解析ターゲットを珪藻(被摂食者)および渦鞭毛虫(摂食者)とした疑似現場培養実験により、珪藻に対する渦鞭毛虫の摂食圧(摂食量)および珪藻、渦鞭毛虫各種の増殖速度を推定することに成功した。現場実験で得られた実験値は、室内実験で得られた珪藻食渦鞭毛虫の代謝パラメータより試算した摂食量と比較により、現実性の検証に役立つ。また、同時に現場海域から採集・計測した珪藻、渦鞭毛虫の現存量(細胞密度)データと合わせることで、珪藻-渦鞭毛虫間の物質・エネルギー流量の定量が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、①種レベルでの被食-捕食関係の実態解明、②珪藻に対する渦鞭毛虫の摂食圧の推定、③現場環境因子から渦鞭毛虫の珪藻摂食量を推定するために必要な生理パラ―メタ各種と環境因子の関係の把握を課題としている。研究初年度(H23年度)は被災により研究計画の進行に大幅な遅れが生じたが、課題①については、H23、H24年度成果として報告した。課題②、③については、H24年度から本格的に取り組み、部分的成果を上げたが、一部試料が未解析であったこと、また、悪天候や傭船手配の不具合の理由で予定していた現場調査の5割しか実行できなかったことから、得られたデータ量は十分ではないと判断している。また、当該年度中に予定していた投稿論文もデータ補足の必要性から延期したままでいる。以上を総合的に判断すれば、当初交付申請に記載した「研究の目的」の達成度は、やや遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はH25年度を研究計画最終年度に予定していた。しかしながら、悪天候により現場調査が十分回数確保できなかったことを主たる理由として計画全体の進行が遅れたため、その対応策としてH26年4~5月に追加調査を行うこととし、H26年度に1年間の補助事業期間延長の承認申請書をしてご承認いただいた。すでに追加現場調査は実施済みであり、残された期間については、10月まで試料分析およびデータ解析を完了させ、年度内に関連学会での発表、論文投稿をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度春季に現場調査海域におけるプランクトン試料を採取し、その分析結果を基に、渦鞭毛虫による珪藻摂食量の推定を試みる予定であったが、荒天等の理由により予定していた調査の5割程度しか実行できなかった。なお、この調査は春季ブルーム期間中の渦鞭毛虫と珪藻の関係を把握することが目的であるため、春季以外に代替調査は行えない。そのため、H26年度の4~5月に追加調査を行うこととした。また、H26年度には研究成果発表の場として国際学会への参加を予定している。次年度予算は上記の現場調査にかかる費用および海外旅費に使用する予定である。 使用計画内訳は以下の通り. 物品費として計\200,000:1.試薬類(\100,000)、2. 試料保存容器類(\100,000)、旅費として計\275,000:1. 国際学会での成果発表ための旅費(\250,000)、2. 現場調査にかかる交通費(\25,000)、謝金として計\225,000:1. 現場調査にかかる傭船費(\25,000×4回=\100,000)、2. 調査補助員として雇用する学生アルバイト料(\750/h×5h×3名×4回=\45,000)、3. 投稿論文添削謝礼費(\40,000×2=\80,000)、その他として計\90,000:1. 論文投稿料(\40,000×2報=\80,000)、2.振込手数料等(\10,000)を予定している。
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