2011 Fiscal Year Research-status Report
超深地層環境における核種移行に関するナチュラルアナログ研究
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23510014
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
本多 照幸 東京都市大学, 工学部, 教授 (30139414)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 深地層環境 / 核種移行 / ナチュラルアナログ / 高レベル放射性廃棄物 / 地層処分 / マイナーアクチノイド / 逐次溶解法 |
Research Abstract |
地層処分では長期間にわたり安全性を確保した上で、かつ人間の管理を必要としないが、安全性を追求する上でいくつかの問題点があげられる。深地層では、一般的に地下水の移動速度は遅いとされているが、実際の天然の地層中には割れ目や断層といった地下水が流れやすく、移動速度が速くなる箇所が存在する。そのため、この割れ目や断層を考慮した場合、地下水の移動速度が速くなり、放射性核種が想定していた時間よりも早く生活環境圏に浸出してしまうことが懸念される(地下水シナリオ)。また、割れ目や断層がある個所では変質を伴っており、この変質の存在が放射性核種の地層中での挙動を変化させる可能性があり、地層処分の安全評価をするために、本研究では東濃土岐花崗岩を対象として、深地層(深度300m)中でのマイナーアクチノイドの挙動と支配要因を評価するために、ランタノイド(Ln)、U、Thを用いる評価の手法の確立を目的とした。 本研究(平成23年度)により、変質部でLn、U、Thが濃集・保持されることが明らかになった。変質部は、天然の地層中なら、割れ目や岩石粒子間中に存在している。地下水に伴い高レベル放射性廃棄物からマイナーアクチノイド等の放射性核種が天然の地層中に拡散するが、天然に存在する変質部との相互作用によって、変質部の鉱物等に取り込まれ、地層中に保持され、その結果、放射性核種が生活環境圏に到達する時間を遅らせることが期待できる。 本研究を通じて、Ln、U、Thの挙動を把握するために用いた、逐次溶解法(化学形態別分離法)はこれら元素の地層中での挙動、支配要因を把握するために極めて有効な手法であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では、東濃ウラン鉱床群に産する土岐花崗岩を用いて、自然環境で起こっている元素(核種)の移行・固定メカニズムとその地球化学的条件の解明について、これまでの予想を覆す極めて重要な知見を得ることができた。その知見とは、変質部でLn、U、Th(すなわち、Am、Cm等のマイナーアクチノイド)が濃集・保持されることが明らかになったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度では、堆積岩を対象とし、幌延海成層群に産する砂岩、細礫岩、亜炭層における酸化還元フロント部(割れ目部等の酸化鉄)、炭酸塩充填部、方解石脈付近、黄鉄鉱形成部、さらに岩相の異なるウラン鉱化部から試料を採取し、酸化還元条件や岩相の違いによる微量元素や放射性核種濃度の変化等を考察する。なお、分析の手法は、平成23年度と同様である。 平成25年度では、本研究で新たに原位置試験に関わる試料(岩石、地下水等)の採取並びに基礎データ(地下水のpH、酸素濃度等)の取得、及びそれら試料中の微量元素(ナチュラルアナログ元素)の分析を実施する。なお、岩石試料には一部逐次溶解法も適用し、鉱物分離した試料を準備する。これら試料の分析法は、基本的には前述の岩石試料と同様であり、得られた結果を用いて岩石-コロイド-地下水系における元素並びに核種の分配、岩石の収着・保持機構、及びコロイドの吸着・運搬機構等について詳細に考察し、研究の総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では、直接経費(申請額1,000,000円)を予定通り執行し、計画通り研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)