2012 Fiscal Year Research-status Report
琵琶湖北湖沿岸域における底質の相違に関係する付着藻類の種類構成、現存量、基礎生産
Project/Area Number |
23510015
|
Research Institution | Nagoya Women's University |
Principal Investigator |
石田 典子 名古屋女子大学, 文学部, 教授 (90191874)
|
Keywords | 付着藻類 / 琵琶湖 / 沿岸域 / 底質 / 基礎生産 |
Research Abstract |
本研究は,琵琶湖北湖において底質条件の異なる水域における付着藻類の種類構成,現存量および基礎生産を測定し,付着藻類の動態を底質構造との関係において明らかにすることにより,水質保全対策に貢献すること,また,湖の湖岸の保全や整備への指針を提示することを目的としている.予備調査の結果から,砂泥,砂,礫,岩などのそれぞれの基質の割合が異なる代表的な地点として北湖沿岸域に12地点を選定した.これらの地点において,平成23年8月,11月および平成24年3月の3期に実施した付着藻類の採集調査および光合成測定実験に加えて,平成24年度には6月に同様な調査および培養実験を実施した.これにより,琵琶湖沿岸域の代表的な地点における付着藻類の現存量,種類構成および光合成に関して付着藻類の季節的変化や水塊の循環状況を考慮した基礎的な情報が得られつつある.この成果の一部はすでに日本陸水学会において口頭発表を行った.一方,付着藻類の種類構成については,一部がまだ未分析であり,また,4期の結果を総合した解析が必要であるので,取りまとめを進め,植物プランクトンの結果とも比較して,琵琶湖北湖沿岸域における基礎生産を底質との関連において解析する予定である.本研究の遂行の中で,琵琶湖沿岸域の基礎生産の構造を明らかにするために発展的な内容としての調査実験の必要性があり,その一部を24年度に実施した.より有用な成果を得るために,25年度にも必要な補足調査実験を実施する予定である.また,水草表面付着藻類の生産力に関する情報を得るために実施した水草模型を用いた付着実験においては,付着藻類現存量は模型の形態に関係して変動するという興味深い結果が得られ,その成果の一部はすでに論文とした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は,初年度に実施した平成23年8月,11月および平成24年3月の沿岸域付着藻類採集調査に続いて,研究開始時より計画していた6月の調査を実施した.琵琶湖北湖沿岸域の底質条件が異なる水域の付着藻類の現存量の把握および生産量の測定について,付着藻類の季節変化を考慮して計画された当初の調査予定はすべて実施された.これら4期の調査の結果から得られた主たる研究目的である底質の相違に関係する付着藻類の基礎生産と現存量に関する成果の一部は,24年度に,日本陸水学会において発表した.また,試料の分析および解析に関しては,栄養塩類等の環境要因の分析,付着藻類の現存量および元素分析などの分析は終了している.藻類の種類構成については25年度の総括に向かって,継続して分析予定である.なお,流水系と止水系との比較検討のため,実施する予定であった流入河川における調査は,沿岸域の発展的な調査実験を優先したために,一部での実施のみである.水草表面付着藻類に関して水草模型を用いて実施した実験的な検討は,今後の水草表面付着藻類の現場における生産力の見積もりに大いに役立つと考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
琵琶湖北湖沿岸域における付着藻類の採集のための野外調査,光合成測定に関する室内実験などは,おおむね終了し,付着藻類の種類構成を求めるための試料分析を残す状況となっている.平成25年度は,これまでの調査結果を総合的に取りまとめ,琵琶湖北湖の沿岸域の代表的な水域における付着藻類の種類構成,現存量および基礎生産の分布および特性を底質との関係において解析し,速やかに論文としてまとめる予定である.また,この成果は,SIL2013および本年の日本陸水学会などにおいて随時発表する予定である. この研究を実施した中で,琵琶湖沿岸域の生産力の見積もりのためには,いくつかの補足調査実験が必要であり,その一部は24年度に実施した.25年度にはさらに夏季を中心に2回の補足調査実験を予定している. 河川域調査については,琵琶湖の北部の知内川,姉川および東部に位置する犬上川の下流部の礫からなる瀬と砂からなる淵およびそれらの移行帯において,粒径と付着藻類の種類構成,現存量および基礎生産を沿岸域の付着藻類に関する調査研究に準じて実施したが,予備的調査にとどまっている.前述の沿岸域の生産力の見積もりに関する補足調査実験は本研究は主たる目的を達成するためにより重要であり,より優先的課題と考え,実施したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度予算については,平成23年度未執行の予算を加えて,現地調査旅費,現地調査に関わる人件費など,分析等補助のための学生アルバイト,分析に関する消耗品など順調に支出された.平成25年度については,琵琶湖北湖沿岸域における2回の補足調査実験のための出張旅費,水中での採集調査におけるダイバー人件費,器材のレンタル費用と分析補助のための学生アルバイト料および研究代表者のSILにおける成果発表のための旅費の支出を予定している.
|
Research Products
(3 results)