2011 Fiscal Year Research-status Report
海洋低次生態系・海底堆積物結合モデルによる伊勢湾の中長期的水質底質特性の研究
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23510016
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
千葉 賢 四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90298654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 環境動態解析 / 数値シミュレーション / 環境基準 / 総量規制 / 生態系モデル / 閉鎖性海域 |
Research Abstract |
伊勢湾の水質・流動・底質観測データ(三重県浅海定線観測調査データ、国交省自動観測局データなど)、河川流量データ、気象データ、検潮データ、JCOPEの太平洋沿岸の水温・塩分・流動データを入手して整理した。また、有明海用の3次元流動モデルを伊勢湾用に修正して、2008年と2010年までの再現計算を実施した。モデルの再現精度はかなり高いことが判明したが、冬場の水温がやや高めに計算された。この原因追究を行ったが、乱流パラメータと水面での日射量の低減率の設定に問題があることがわかり、再現精度が上がるようにパラメータの調整を行った。1年分の再現には約2日の計算時間が必要なため、パラメータの調整にかなり時間を費やした。伊勢湾の湾央には、湾を斜めに横断する帯状の底質の悪い部分があるが、水質観測データの分析により、この帯状部分と湾奥からの低塩分水隗の張り出しの縁辺部が良く一致することがわかった。クロロフィルの高濃度域はこの縁辺部に存在する場合があり、これは低塩分水隗とともに運ばれる栄養塩の分布に関係があると推定するのが妥当であろう。貧酸素水隗もこの帯状域付近から発生している場合が多いことがわかった。本研究では海底から海水中への栄養塩の回帰を詳しく調べる予定であるが、上記の観察結果は研究の遂行に重要な視点と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伊勢湾の流動の数値モデルを作成し、再現計算を行い、それらと観測結果の比較を行った。ほぼ予定通りであり、面白い研究結果も得られているが、それを論文として公表するところまでは出来なかった。それゆえ、おおむね順調ではあるが、論文の執筆も急がないと3か年の計画の最後の部分で厳しくなることも予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
観測データの分析と流動モデルによる再現計算により、伊勢湾の水質構造について興味深い点が見いだされたので、論文の執筆を行いたい。また、低次生態系モデルと海底堆積物モデルの結合モデルを夏までには準備して再現計算に入る予定である。これにより栄養塩の海底からの回帰率が定量化されるようになる。まずはモデルの整備を急ぎたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ワークステーションを高速化するために、OS(RedHat V6)とコンパイラ(Intel Fortan V12、約7万円)のアップデートを行うとともに、CPU(Xeon E5-2690、約25万円)を1基購入して、DUALモードで計算を行えるようにする。計算結果後処理プログラム開発環境の整備(Microsoft Visual Studio関連ソフトの購入、約10万円)、プリンター購入(約5万円)、学会出席等の旅費(約10万円)などを予定している。
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Research Products
(1 results)