2013 Fiscal Year Research-status Report
海洋低次生態系・海底堆積物結合モデルによる伊勢湾の中長期的水質底質特性の研究
Project/Area Number |
23510016
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
千葉 賢 四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90298654)
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Keywords | 貧酸素水隗 / 伊勢湾 / 閉鎖性海域 / 環境動態解析 / 浮遊低次生態系モデル / 海底堆積物モデル / 環境基準 / 総量規制 |
Research Abstract |
本研究の目的は、総量規制や下水道の普及などにも関わらず伊勢湾の水質に下げ止まりが見られ、特に貧酸素水隗の発生が止まらない状況を最新の数理モデルで解析し、原因追及することにある。平成25年度は次の研究を実施した。 (1)昨年度までに開発済みの3次元流動モデルの基礎式と数値スキームを解説する論文を発表した。(2)このモデルで2010年から2012年までの再現計算を実施し、国交省の自動観測局3局(湾口、湾央、湾奥)の観測データや過去の流動場調査結果との比較を行った。この中の2010年と2011年の結果を論文発表し、計算精度の評価、流動と水温・塩分場の特徴の抽出、月別海水交換率を明らかにするとともに、貧酸素水隗発生に関与する海水交換機構について考察した。(3)浮遊低次生態系・海底堆積物結合モデルを作成し、基礎式や数値スキームを解説する論文を発表した。本モデルを英虞湾に適用した解析結果を同時に掲載した。(4)2010~2012年の水質と底質の計算を実施し、国交省の自動観測局の観測データと比較したが、クロロフィル・溶存酸素の一致度は良好で、モデルの再現精度を確認できた(未発表)。(5)2010年の流動データを用いて、1950年から2009年までの60年間の水質と底質の長期計算を開始した。総量規制に基づく陸域負荷の年次変化を与え、①難分解性海底堆積物による遅延効果(海底からの栄養塩の回帰)、②外海負荷の影響等を検討している。(6)(5)の終了後、得られた知見を元に、将来予測を行う。 今年度で研究終了の予定であったが、高速なワークステーションの導入が遅れたために1年間研究を延長した。研究の内容については、当初の研究計画に沿って進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長期間の再現計算を実施するには出来るだけ高速なワークステーションが必要であり、予定していたマシンの発売が遅れたため、研究もそれに合わせて調整し、研究期間を1年間延長することとした。その遅れた期間に、モデルに関する論文2本と計算結果に関する論文1本の執筆を進めることができたので、効果もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
1950年から2009年までの60年間の長期計算をパラメータスタディとして実施中で、これにより、伊勢湾の水質下げ止まりと貧酸素水隗長期化の原因追究を行う。海底堆積物からの栄養塩の回帰量、湾内の基礎生産に使用される陸域起源、海底起源、外海起源の栄養塩の比率、栄養塩の滞留率を上げる湾の構造的問題(湾口での鉛直混合と湾内への回帰)などを検討する予定。その後、将来予測も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年であり、研究をとりまとめるために行う計算作業の消耗品費、成果の論文発表・学会発表の必要費用、最終報告書の作成費用などが発生する。 文献調査費用(約3万円)、論文別刷費用(約10万円)、学会出席等の旅費(約10万円)、最終年次の研究成果報告書(冊子)印刷費用(約15万円)、消耗品費(約5万円)
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Research Products
(5 results)