2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋低次生態系・海底堆積物結合モデルによる伊勢湾の中長期的水質底質特性の研究
Project/Area Number |
23510016
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Research Institution | Yokkaichi University |
Principal Investigator |
千葉 賢 四日市大学, 環境情報学部, 教授 (90298654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 貧酸素水隗 / 伊勢湾 / 閉鎖性海域 / 環境動態解析 / 浮遊低次生態系モデル / 海底堆積物モデル / 環境基準 / 総量規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、総量規制や下水道の普及などにも関わらず伊勢湾の水質に下げ止まりが見られ、特に貧酸素水隗の発生が止まらない状況を最新の数理モデルで解析し、原因追及することにある。平成26年度は次の研究を実施した。 (1)水質と底質の長期計算のために、1986年から2012年までの流動場を求めた。流動場や水温・塩分にについて観測値と比較したが、再現精度は良好であった。 (2)統計データを収集して、1950年から2010年までの陸域負荷量を原単位法で推定した。そして、開発した数理モデルにより1986年から2012年までの伊勢湾の水質と底質、及び貧酸素水隗の発生状況を求め、観測値と比較した。この期間に貧酸素水隗が継続的に発生していた状況はうまく再現されたが、年による貧酸素の強度の変動は十分に再現できなかった。これについては、利用可能な外海データが乏しく、月1回の観測値を時間補間して用いたことが、原因のひとつと考えられた。 (3)2010年の流動場を用い、1950年から2039年までの伊勢湾の水質と底質、及び貧酸素水隗の発生状況を求めた。その際、①海底堆積物中の難分解性懸濁態有機物(RPOM)の分解速度、②堆積速度等をパラメータとして考慮した。パラメータの与え方で貧酸素水隗の発生状況は変わるものの全体的な傾向は不変で、過去の過剰な陸域負荷で海底に堆積したRPOMが、その後の貧酸素水隗の長期化現象に関与していることを定量的に明らかにした。また、今後の陸域負荷の削減パターンを検討し、それによる貧酸素水隗の発生状況の変化を示した。 (4)大学紀要に(2)(3)の検討の一部を発表した。また、査読付きの学会誌への投稿の準備を進めた。
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Research Products
(2 results)