2011 Fiscal Year Research-status Report
PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質の起源と水環境動態の解明
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23510020
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
茂木 守 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 主任研究員 (10415391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野尻 喜好 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 担当部長 (70415389)
堀井 勇一 埼玉県環境科学国際センター, 化学物質担当, 主任 (30509534)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 有機フッ素化合物 / PFOS / PFOA / 前駆物質 / 河川水 / 製品 / 生活系排水 / 分解特性 |
Research Abstract |
難分解性有機フッ素化合物であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) 及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、生物に対する有害性が指摘されており、ヒトや野生動物の血液から検出されている。これらの物質は河川水からも広く検出されているが、その原因はよくわかっていない。一方、PFOS、PFOAの末端がアルコール基などで置換された物質(前駆物質)は環境中で分解され、最終的にPFOS、PFOAとして残留すると考えられている。そのため、本研究ではPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質の起源や水環境における前駆物質からPFOS、PFOAへの転換機構を明らかにし、河川におけるPFOS、PFOA汚染の解明を目的としている。平成23年度は、(1)埼玉県内の河川水の汚染状況を確認するため35河川38地点の河川水、(2)広域的汚染の一因と予想される生活系排水として8検体の下水処理場放流水、10検体の農業集落排水処理施設放流水、(3)有機フッ素系化合物が使用されていると考えられる35種類の市販品(撥水剤、傘、カーペットなど)について、PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質(計15物質)を調べた。PFOS、PFOAはほとんどの河川水及び全ての下水処理場、農業集落排水処理施設の放流水から検出されたが、前駆物質の検出割合と濃度はPFOS、PFOAよりも総じて低かった。生活系排水処理施設放流水のPFOS、PFOA濃度は、河川水の平均濃度よりも高い傾向が見られた。市販品ではPFOAとその前駆物質である8:2FTOHが比較的多く検出されたが、PFOSとその前駆物質はほとんど検出されなかった。これらのことから、現在も埼玉県内の河川水には広域的にPFOS、PFOAが含まれ、その一因として生活系排水処理施設放流水の関与が示唆された。一方、一部の市販品はPFOA汚染の一因になりうると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
埼玉県内で環境基準点を有する全ての河川において、河川水のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定し、前駆物質の検出割合、濃度はPFOS、PFOAよりも総じて低いことを把握した。下水処理場放流水、農業集落排水処理施設放流水のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定し、これらの水が河川水に対する汚染の一因であることを把握した。市販品のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定し、一部の製品がPFOA及びその前駆物質を含むことを確認したが、PFOS及びその前駆物質については、現在市販されている製品から検出されなかったため、これらの物質の起源についてはまだ把握できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、比較的規模の大きい生活系排水処理施設放流水について検討してきたが、今後は小規模の施設も調査対象とし、放流水のPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質濃度を測定する。また、各生活排水処理施設と接続人口等との関係について解析を進める。これまでに調べた市販品からはPFOS及びその前駆物質がほとんど検出されなかったため、調査対象を拡大して引き続き調査を進めると共に、工業用製品等についても新たに検討する。水環境中におけるPFOS、PFOA及びそれらの前駆物質の分解特性を把握するため、実験条件に関する既存の情報を整理し、必要な実験系を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質について調査、分析に必要な器具、試薬等を購入する。また、水試料の分析効率を向上させるため、固相抽出用前処理装置を購入する。PFOS、PFOA及びそれらの前駆物質の起源を把握するため、工業製品等を購入する。水環境中におけるPFOS、PFOAの前駆物質の分解実験を行うため、必要な機材等を購入する。これまでに得られた研究成果を国内、国際学会等で発表するための経費として使用する。
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Research Products
(1 results)