2011 Fiscal Year Research-status Report
植物プランクトンモニタリングのための優占種遺伝子情報の整備
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23510021
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
辻 彰洋 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40356267)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | バーコーディング / Single Cell PCR / 植物プランクトン / 付着藻類 / 分子系統解析 / Spicaticribra kingstonii |
Research Abstract |
ダム湖および自然湖沼(霞ヶ浦,阿寒湖,中禅寺湖,湯の湖,余呉湖など)から,植物プランクトン及び付着藻類株を約100株分離し,遺伝子解析を行った. また,それらについて分類学的検討を行った. バーコーディングを円滑に行うためのプライマー開発を行った.特に珪藻類を対象としたrbcLプライマーについては,コンタミの減少につなげることが出来た. プランクトン藻類及び付着藻類,特に珪藻類について,Single Cell PCRの方法を検討した.当初,Single Cell PCR用として販売されているPCR装置を用いて,検討を重ねたが,装置が本来は短鎖のPCR解析に最適化されており,そのままでは使えなかった.そのため,長鎖の塩基配列のPCRを行うために酵素の検討などを繰り返したが,シーリングの制約などから,長時間のPCRが必要な長鎖の塩基配列のPCRを行う事は出来なかった.その後,新しい方法として,スライドグラス上で,GITCバッファを用いて抽出する方法を開発した.現状では,Stephanodiscus minutulusなどの10um程度の珪藻のSingle Cell PCRにおいて,20%程度の確立で成功するところまで持ち込む事が出来た.最適化を行う事で実用的なレベルまで達成する事が可能になると考える. 沖縄のダム湖に出現するSpicaticribra kingstoniiとタイ産のSpicaticribra rudisについて,遺伝子解析を行い,それらが,Cyclotella meneghinianaクレードの一員であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養株の確立についてはやや遅れているが,これは難培養性の種が原因で予想された範囲である.また,培養株について遺伝子解析の結果,コンタミが確認された物も見受けられた.これはプライマー開発によってほぼ解決した.難培養性の株のための,Single Cell PCR手法の開発については,購入予定の機械の検討を重ねた結果,目的のためには適切出ないことが分かり,別の新しい方法を確立した.そのことで,多くの微細藻類種について遺伝子解析の目処がついた.
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Strategy for Future Research Activity |
様々な技術的開発が軌道に乗ってきたため,今後は私たちが作成したダム湖プランクトンの簡易同定チェックリストに掲載した種について網羅的にバーコーディング領域の遺伝子解析を行い,植物プランクトンのバーコーディングが可能なレベルへの立ち上げを行う.また,バーコーディングの利用の一つとして,霞ヶ浦のプランクトンを対象として,次世代シークエンサーを用いて,珪藻rbcLとシアノバクテリア16Sを用いた網羅的な解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の予算は,遺伝子解析の試薬代,および人件費が大部分を占める.その他に,成果発表のための学会出張費と,サンプリングのための出張費を見込んだ.
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Research Products
(9 results)