2013 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化ならびに海洋酸性化がサンゴモと海草の生長量に与える影響の評価
Project/Area Number |
23510023
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 義幸 独立行政法人海洋研究開発機構, むつ研究所, 研究員 (50396818)
|
Keywords | 海草 / アマモ / スゲアマモ / 温暖化 / 酸性化 / PAM / 安定同位体 / サンゴモ |
Research Abstract |
地球規模の環境変動に対する普遍種と地域固有種との応答の差を、日本の北部に分布する一次生産者を対象として検証することが本研究の目的である。 陸奥湾に面した青森県むつ市川内の砂浜から水深2m,4m,7m,10mの4地点で海草の分布調査を実施した。北半球のほぼ全域に分布する海草であるアマモ(Zostera marina)は浅い2m・4mの地点に、日本海北部周辺の地域固有種であるスゲアマモ(Z. caespitosa)は深い4m~10mの地点に分布する帯状構造が認められた。各地点において、一次生産の指標となる蛍光値を測定したところ、分布の重なる4m地点も含めた全ての地点で、アマモの蛍光値が有意に高かった。同様に一次生産の指標となる炭素同位体比からは、4m以浅で試料採集以前、数週間程度の光合成活性が高かったことが示唆された。窒素に対する炭素の比率から陸奥湾の海草は貧栄養の状態に置かれていることが明らかになった。 水温と二酸化炭素濃度を同時に操作して、海草や海藻がどのように応答するか検証するために、本研究においては、水温を2段階、二酸化炭素濃度を3段階に調整することが可能で、閉鎖系で大型一次生産者を培養するために既存の装置よりも流量が大きく、水位調整機能も付随した実験装置を開発した。培養実験の結果、スゲアマモの方がアマモと比較して温度上昇に対する耐性が低い傾向にあることが見出された。今後海水温が上昇した場合、地域固有種であるスゲアマモの分布がより制限される可能性が示唆された。 津軽海峡に面するむつ市大畑のちぢり浜においては、紅藻サンゴモとしてイソキリ・エゾシコロ・ピリヒバが主に卓越した。これら研究の成果は、研究期間中毎年開催された、むつ研究所主催の観察会や講演会においても市民に向け広く公表され、サンゴモをはじめとする海藻の分布については図書として出版される。
|