2013 Fiscal Year Research-status Report
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23510032
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
東條 元昭 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (90254440)
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Keywords | 極地 / 野生植物 / 植物病原菌 |
Research Abstract |
この研究の目的は、近年環境変化が著しい極地で、植物病原菌が植物の生存にどのような影響を及ぼしているかを明らかにすることと、そのための基礎知見である極地における植物病原菌の種類と分布を明確にすることである。 今年度はまず、ノルウェー領スピッツベルゲン島ニーオルスン日本基地の北側斜面のカギハイゴケ群落に生息するPythium属菌の分離頻度と種構成の変化について、2003, 2004, 2005, 2006, 2008, 2010 および2012年のそれぞれの年の夏期の調査データを解析した。その結果、未知種を含む6種のPythium属菌が種によって異なる密度変化を伴ってこのカギハイゴケ群落に生息し、少なくとも内5種がカギハイゴケに感染性を示すことが確認された。 次に、同島における植物病原菌の種類と分布を既報と独自調査の結果をもとに取りまとめたところ、これまでに同島で報告されている578種の糸状菌の内少なくとも176種が植物寄生菌である可能性が示された。一方でこのような極地の植物病原菌の生態や分布範囲についての情報は極めて少ないことが明らかになった。 上記に加えて、同島のキョクチヤナギに黒紋病を起こすRhytisma属(子嚢菌)の1種が新種であることがわかったので国際専門誌で報告した。また、著者らはスピッツベルゲン島でコケ感染性の糸状菌としてTrichoderma polysporumを既に報告したが (Yamazaki et al. 2011)、本菌株がPythium属菌を抑制する新規の物質を培地上で生産することが明らかになり特許出願を行った。さらに、著者らがこれまでに新種として報告した極地のコケ感染性のPythium polareが (Tojo et al. 2012)、温帯産の近縁種よりも高い凍結耐性能を示すことを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高緯度北極域のスピッツベルゲン島における植物病原菌の種類と分布を、既報と独自調査の結果をもとに取りまとめて総説として発表した。また、北極の主要植生であるキョクチヤナギに寄生する未知のRhytisma属菌1種を新種として記載することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 極地の野生植物に発生し未同定となっている他の植物病原菌種を、形態的および分子的特性に基づいて同定する。 2) 2014年夏期にスピッツベルゲン島に位置する日本北極基地に約3週間滞在し、周辺のカギハイゴケやキョクチヤナギへの植物病原菌の感染率を調べる。そして、その年次変動の定点観測データを解析し、発生生態と宿主植物の生存に及ぼす影響を明らかにする。
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Research Products
(9 results)
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[Book] Ecological strategies of snow molds to tolerate freezing stress. In: Imai, R., Yoshida, M., and Matsumoto, N. (eds), Plant and microbe adaptations to cold in changing world2013
Author(s)
Tamotsu Hoshino, Nan Xiao, Yuka Yajima, Kenichi Kida, Katsuyuki Tokura, Ryo Murakami, Motoaki Tojo and Naoyuki Matsumoto
Total Pages
285-292
Publisher
Springer
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