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2012 Fiscal Year Research-status Report

線虫を用いた含フッ素含有医薬品(フルオロキノロン)の生態影響評価

Research Project

Project/Area Number 23510035
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

一川 暢宏  立命館大学, 薬学部, 教授 (10380932)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 有薗 幸司  熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
Keywordsフルオロキノロン系抗菌薬 / レボフロキサシン / 線虫 / 生態影響調査 / トキシコジェノミクス / 有機フッ素化合物
Research Abstract

有機フッ素化合物 (PFCs) は、工業的に広く利用されているが、生体内においては難分解性や高い蓄積性を示すことが知られており、新たな環境汚染物質として注目されている。我々はこれまで、PFCsの神経内分泌系への影響等、生態環境に及ぼす影響について調査してきた。一方、フッ素を含有する医薬品の代表的な薬物としてフルオロキノロン系抗菌剤 (FQs) がある。我々は、河川流域の医薬品汚染実態の調査を行ったところ、検出された医薬品類の中に臨床で繁用されているFQであるLevofloxacin (LVFX)が含まれていた。LVFXによる水系汚染は、水循環によるヒトへの暴露による健康影響や、薬剤耐性菌の発生などの問題を引き起こす可能性もある。本研究ではFQsとして、おもにLVFXを使用し、モデル動物として線虫C.elegansを用いたトキシコジェノミクスによる生態影響調査を行うこととした。これまで、環境汚染物質を中心とした、化学物質の生体影響調査系として確立してきた毒性学的手法のFQsを含む種々の医薬品への適用について検討をすすめ、致死影響試験、成長・成熟・繁殖影響試験については、ほぼ従来の手法を用いることが可能であった。今年度は、LVFXの暴露濃度について検討した。対照群は溶解剤として用いたDMSOに暴露した。加えて、フッ素を含有しないキノロン剤であるナリジクス酸 (NA)に暴露した群とも比較した。致死影響試験については設定した全ての濃度で両薬剤の影響は認められなかった。一方、成長成熟試験では、LVFX暴露群のみに、濃度依存的な成長抑制作用が観察された。動物実験で奇形発症の可能性が示されているFQsもあるため、今後は繁殖影響試験などで詳細に検討したい。現在、暴露後の各群線虫からt-RNAを抽出し、約6000種の遺伝子について網羅的なDNAマイクロアレイ解析を進めている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の当初予定である、LVFXおよびNA暴露後の線虫DNAマイクロアレイ解析がほぼ終了したため。現在、影響のあった遺伝子群について網羅的検索を行っている。両キノロン剤共通で、あるいは各キノロン特有の影響も観察されており、以前検討したPFCsの暴露影響結果と比較検討することでフッ素の関与について明らかにしたい。

Strategy for Future Research Activity

現在進めている線虫6000遺伝子を搭載したカスタムマイクロアレイチップを用いた遺伝子発現変動の網羅的解析を継続する。また、マイクロアレイ解析よりLVFXに特異的に発現変動を示す遺伝子については定量的リアルタイムPCRにより遺伝子発現解析を行う。また、これまでの成長成熟影響試験において、LVFX暴露群のみで濃度依存的な体長の減少など、線虫の成長抑制が観察されている。我々は野生型とは異なる体型(Sma様体型:体長が短い)を表現型として示す線虫を系統化しており、この変異体は酸化作用をもつ化学物質に対して高い感受性を有し、酸化ストレスにより寿命が短くなる。この変異体を比較群として用いることでLVFXによる成長抑制のメカニズムについての詳細を検討したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

初年度に設備備品費として申請した、RNA純度解析用極微量分光光度計(ナノドロップ)の同等国産品がより安価で入手できたため、今年度はその予算残余分をカスタムマイクロアレイの作製費を中心に使用し、次年度も継続して支出予定である。加えて、今年度は残余分で線虫の形態観察および電子媒体への記録用に正立型デジタルマイクロスコープを購入した。その他の研究費については申請時と変更はなく、次年度も試薬、薬品、ガラス器具、プラスチック器具等に充当予定である。さらに、共同研究者間の打合せや国内外の学会での成果発表のための経費等に使用予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 環境中医薬品の生態影響:線虫DNAマイクロアレイを用いたフルオロキノロンの生態影響評価2013

    • Author(s)
      高瀬 友佳子,佐々木 優,有薗 幸司,一川 暢宏
    • Organizer
      第23回日本医療薬学会年会
    • Place of Presentation
      仙台国際センター(宮城県)
    • Year and Date
      20130921-20130922
  • [Presentation] 線虫トキシコジェノミクスによる医薬品の生体影響評価2012

    • Author(s)
      佐々木 優,高瀬 友佳子,井口 綾子,有薗 幸司,一川 暢宏
    • Organizer
      第51回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
    • Place of Presentation
      島根県民会館(島根県)
    • Year and Date
      20121110-20121111

URL: 

Published: 2014-07-24  

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