2011 Fiscal Year Research-status Report
河川水温変動シミュレーションを用いた全国の淡水魚類に関する自然再生支援システム
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23510037
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
亀山 哲 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80332237)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 湿地生態系 / 自然再生 |
Research Abstract |
研究所年度であるH23においては、主に次のGISデータベースの構築を実施した。1. 魚類の生息地情報(研究対象流域の北海道釧路川流域における水辺の国勢調査データを基に最新版まで整理)2.流域構造に関する基盤データ(温度推定を可能とする水文物理モデルの境界条件として使用。国土交通省の国土数値情報・水文水環境情報・環境省公共用水域水質データを基に属性データを整理)3.河川水温データ(対象流域(北海道釧路川)において水温ロガーを設置し、観測データをGISデータとして整理した。(全観測地点は40地点,最長14ヶ月のデータを取得予定)。GISデータフォーマットは全てESRI社のArcGISで使用可能なShpファイルとし,属性情報はMs Accessによってリレーショナル可能な物とした。またさらに上記データを活用して水温推定モデルの作成に着手し、2010年度観測データを用いてモデルの初期稼働を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始初年度の進捗についてはほぼ順調であった。特に現地(北海道釧路川)での水温観測モニタリングサイトの設置に関しては、流況・天候などの条件に恵まれ41地点の観測地点が完成した。また、増水等によるデータロガーの流亡も少なく、長期観測体制としては概ね成功であった。特に懸念していたロガー自体の故障も殆ど無く、データ回収率自体も高かったことは非常に幸運でもあった。もう一方のGISデータに関しては、想定よりも時間がかかったもののその原因の多くは、入力データに空間精度を求めた結果であり許容できる範囲であると考えている。今後はモデル推定精度向上のため、土地利用データの高度化・河川断面形状の再検討・融雪時期の出水パターンの分析をさらに進める方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度以降は水温変動シミュレーションにおいて、流域の支流までも含めた推定モデルの空間的な拡大を進める方針である。具体的には水温変動モデルについてDHI社製のMikeシリーズ(MikeSHE,11C)をベースに改良を加え,1次元水文モデルと熱収支モデルを組み合わせて流域全体での河川水温の変換変動を再現する予定である。また継続中の水温データのモニタリングについては今年度も解析と並行して行い、最長で14カ月以上の連続データの取得を目指す。また研究成果については順次成果に応じて、口頭発表・誌上発表を目指す方向である。生物生息情報の整理の面では専門家らによる聞き取りに加え、水産業関連機関等からも情報を収集し、特に経年的な定量性のあるデータの入手を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究費執行計画は次のとおりである。継続中の現地調査及び研究打ち合わせのために国内(北海道が中心)に合計3回の出張、また研究成果の発表を1回程度予定している。現地調査の目的は主に水温ロガーのメンテナンス・データ回収・流亡機器の追加補充である。設備備品費は主に流域管理・自然再生・生態学等に関する専門書籍の購入に22(千円)程度執行予定である。また消耗品費については、作成されたデジタルデータの一次加工や購入、また観測データの管理・バックアップを目的としたデータ記憶媒体等を購入する予定である。さらに研究成果を英語で発表する場合には英文校閲費等の支出を計画している。
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Research Products
(4 results)