2013 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊アオサによる極端な優占現象(グリーンタイド)が干潟の生態系機能へ及ぼす影響
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23510038
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
矢部 徹 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (50300851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 雅紀 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (00311324)
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Keywords | グリーンタイド / ミナミアオサ / 谷津干潟 / 遺伝子解析 / 侵入種 / 生態系機能 |
Research Abstract |
調査対象地は,近年グリーンタイドが発生しており,かつ物質収支を捉えやすい形状である東京湾奥に位置する谷津干潟とした。従来のダイレクトシークエンス法ではコストの面で実施不可能であった定量的種判別法を本課題で確立したCAPSマーカー法によって実施したところ,谷津干潟におけるグリーンタイドの主要形成種は年間を通じて東京湾における侵入種であるミナミアオサであることが明らかになった。 侵入種ミナミアオサのフェノロジーを明らかにするために,年4回ほどバイオマス調査を初年度から最終年度まで繰り返し実施した。調査に際してはその妥当性を検証済みサイズの方形枠を用いて干潮時に実施した。その結果,調査期間を通じて,春期に700gFWm-2程度を示し,夏期には10gFWm-2以下にまで激減した。秋期に回復し,冬期には1000gFWm-2を超えるが,初春にかけて500 gFWm-2程度まで減少した。 アオサ類の培養試験に必要な条件検討を経て,現場水域における水温を考慮した条件での生育実験を実施した。相対成長速度を求めたところ20-30℃では10(%day-1)を越える値を示し,春期や秋期のバイオマス増大の条件を満たしたが,12-2月に相当する6℃ではほぼ0(%day-1)であった。冬期の有機物分解活性が極めて低いことと併せて,この期間はアオサ類は成長も分解もせず干潟内に貯留され最大バイオマスを示していることが示唆された。 表層水中の栄養塩類分析を継続し,解析した結果,既知の裸地干潟とは異なり,年間を通じて全窒素(TN)全りん(TP)ともに下げ潮の方が上げ潮より低濃度であり干潟による栄養塩吸収傾向が認められた。また,無機態/有機態の存在比から,干潟における内部生産が有機物の無機化傾向より卓越していることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)