2011 Fiscal Year Research-status Report
体験と知識の相互浸透をもたらす総合的環境教育プログラムの構築と教育効果の測定
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23510048
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大前 慶和 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (40315388)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 体験型環境教育の逆説的現象 / ダンボールコンポスター / 体験と知識の相互浸透 |
Research Abstract |
平成23年度は、震災の影響により交付金額が大幅に削減される可能性を考え、慎重に研究計画を修正し、研究を進める方針をとった。また、平成23年度後半に自身が体調を崩してしまったこともあり、結果として、比較的多額の旅費を必要とする調査活動、および学外協力者の存在を前提とする社会実験の実施(ダンボールコンポスターを活用した体験的環境教育の提供)は平成24年度に先送りした。平成23年度は文献研究を中心に進め、平成24年度からの研究が順調に進むよう、準備の年度として位置づけることとした。 さて、本研究では、体験型環境教育が必ずしも直線的に環境配慮行動を引き出すとは限らないことに注目している。これを「体験型環境教育の逆説的現象」と呼んでいる。体験を伴わない知識蓄積のみの環境教育を進めた場合(すなわち、現在の日本の典型的な知識提供型環境教育を進めた場合)、環境配慮行動を引き出すことは困難だと言われている。このことから、体験型環境教育の必要性が主張されているが、自身の経験によれば、ダンボールコンポスターを活用した体験型環境教育を進めていくと、理念的に過ぎる環境行動のあり方(環境のためには~すべきだ、あるいは~すべきではないという内容の知識)に慎重な態度を示す者が多くなる。環境知識という意味で頭でっかちとなることに否定的な態度を示し、より具体的で実践可能性のある環境知識を選択し、実践しようとするのである。 知識と体験、そして行動という各要素がどのような関係性を有しているのか、また体験型環境教育の逆説的現象の説明においては、認知心理学の知見が役立つ可能性を認識した。これは平成23年度の主要な成果である。まだ具体的なモデルは構築するには至っていないが、平成24年度にダンボールコンポスターを活用した体験型環境教育を多く提供し、どのような変化が生じるのかを観察、モデルの構築につなげようと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は震災の影響が不透明であり、交付金額が大幅に削減される可能性を認識していた。そのため、いったん開始すると中断が困難となる社会実験の実施は次年度以降に実施することし、平成23年度は文献研究のみを進めることとした。これにより、平成23年度に予定していたダンボールコンポスターを活用した体験型環境教育の提供は実施しなかった。 しかしながら、本研究は1/4年が経過したに過ぎず、残された3年間で社会実験等を実施することにより、最終的な研究の目的は達成できると考えている。よって、研究の進捗はやや遅れてはいるものの、研究計画全体における影響は軽微である。 なお、平成23年度後半に、自身が体調を崩したことも、進捗がやや遅れている理由の1つである。とりわけ学会参加を避けたことから、予定していた学会発表を中止することとなった。研究成果の発表については、平成24年度以降、再開することとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、認知心理学の知見を応用し、体験型環境教育の逆説的現象を説明する仮説モデルを構築する。仮説モデルを検証するにあたっては、ダンボールコンポスターを活用した体験型環境教育を、学生および一般社会人に提供し、アンケート調査を行う。平成23年度は社会実験の実施を見送ったため、平成24年度により多くのデータを収集する必要があることから、鹿児島大学公開講座としてダンボールコンポスター実践講座を開講し、広く一般社会人に社会実験に参加してもらう。およそ45名の参加が得られるよう、計画しているところである。 一方、知識提供型環境教育の見直しも進める。ただし、知識提供型環境教育教材は多くの優れたものが既に存在するため、特に特徴のあるオリジナルを開発することは避ける。 知識と体験の相互浸透については、日本電気株式会社の協力を求め、教材を開発すると共に、開発した教材を用いた教育の実践を行い、アンケート調査を活用することによる教育効果の測定を進める。平成24年度に教材案を作成するが、まだ完成にはほど遠い内容となる。平成25年度にはほぼ完成型となるよう、研究を進める。 なお、研究成果の発表は各年度で行い、学会発表および論文の形式とする。平成26年度には、webにて研究成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に予定していた社会実験(ダンボールコンポスターを活用した体験型環境教育の提供)は実施を避けたため、約18万円の繰越が発生した。社会実験は、規模を拡大し、平成24年度に実施することとする。研究室に新規に所属した学生だけではなく、新たに一般社会人にも参加してもらうこととする。鹿児島大学公開講座としてダンボールコンポスター実践講座を開講し、受講生にはアンケート調査に協力してもらう。講座の運営、ダンボールコンポスターの配布、アンケート調査などに、10万円の予算を想定する。 調査旅費、また研究成果発表旅費を執行する。平成23年度より繰り越した約18万円を含め、53万円の執行を予定する。他大学研究者との意見交換1件、学会参加および発表を3件予定する。 この他、文献研究を継続的に進めるため、図書購入に5万円の執行を想定する。
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