2012 Fiscal Year Research-status Report
原生動物を用いた水環境モニタリング法の有効性に関する生物学的基盤
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23510062
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
洲崎 敏伸 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00187692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 知里 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60362761)
安藤 元紀 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20222789)
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Keywords | 環境技術 / 環境影響評価 / 原生生物 / 誘電解析 / 水質検査 |
Research Abstract |
平成24年度は、昨年度に引き続き、ユーグレナEuglena gracilisやタイヨウチュウActinophrys solなどの原生動物の示す様々な有害物質への応答を、微細形態的・電気生理学的に解析した。具体的には、誘電解析法(インピーダンス法)が、細胞に対する非侵襲的測定法として有効であるかについて検討を進めた。今年度は特に、Euglena gracilisの示す誘電特性を、外部から細胞外液を継続的に流入・流出させることができる流路を設けた並行板コンデンサー型測定セルを作成し、広帯域インピーダンスアナライザーで測定しつつ、電気的パラメータの周波数特性が外液の影響によりどのように変化するかを調べた。その結果、外液中に様々な化学物質を加えることによって生じるユーグレナの細胞形状の変化を、顕著な誘電特性の変化として感度よく検出することができた。また、低周波領域で観測される電極分極によるアーティファクトを取り除くための計算法をさらに改良し、細胞各部の電気的パラメータを算出するための実用的な測定ソフトウェアを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、インピーダンス測定の結果得られた誘電的特性を利用して、有害物質がどの細胞小器官に対してどのように影響を示したのかを推定することを計画しているが、その目的にはまだ到達していない。しかし、インピーダンス解析に関する新規流動セルの開発に成功しており、当該年度の研究目的はほぼ達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
インピーダンス測定に関する基礎的知見はほぼ得られたので、今後は当初の計画通り、「インピーダンス光学顕微鏡システム」の試作を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有害物質に高い反応性を示す原生動物の示す、細胞生物学的な反応機序を探る目的で、ユーグレナやタイヨウチュウ以外の原生動物について同様な検討を重ねることで、バイオモニタリングに最も適した生物材料をさらに探索する。また、原生動物を水質汚染の指標生物として利用し、試験水中における有害物質の有無を即座に確認するためのバイオモニタリングシステムの試験開発を続行する。
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Research Products
(15 results)