2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510065
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
立石 智 熊本大学, 発生医学研究所, 講師 (00227109)
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Keywords | Rad18 / Chk2 / Cancer / Checkpoint / Postreplication repair / PCNA |
Research Abstract |
Rad18は、PCNAをモノユビキチン化することにより損傷乗越え複製を制御する。Rad18欠損マウスの発がんについて調べた。野生型マウス、Rad18欠損マウスはともに12ヵ月齢までは発がんがみられなかったが、18ヵ月齢で野生型マウス、Rad18欠損マウスは、それぞれ15%および31%の自然発がんがみられた。このため、Rad18欠損マウスは野生型マウスに比べて2倍の自然発がん率であった (P<0.05)。がんの種類のスペクトラムも大きく異なっていた。細胞周期制御機構が、がん抑制において果たしている役割をさぐるため、Chk2・Rad18 2重欠損マウスを作成した。Chk2は細胞周期を制御するリン酸化酵素である。12ヵ月齢のChk2欠損マウスで発がんはみられなかったのに対して、Chk2・Rad18 2重欠損マウスでは20%にリンパ腫がみられた(P<0.05)。次に、マウスの背にUVを照射することにより、皮膚がんの形成を調べた。皮膚がんの形成頻度は、野生型マウスとRad18欠損マウスで有意な差がみられなかったが、Rad18欠損マウスは野生型マウスよりも早く皮膚がんが形成される傾向がみられた。Chk2欠損マウスは、野生型マウスに比べて早く皮膚がんが形成された(P<0.01)。Chk2欠損マウスとChk2・Rad18 2重欠損マウスでは、皮膚がんの形成頻度に有意な差はみられなかったが、Chk2・Rad18 2重欠損マウスで悪性度の高い扁平上皮がんが多くみられ(P<0.05)、早く皮膚がんが形成される傾向がみられた。このため、Chk2遺伝子の欠損によりRad18欠損マウスの発がんが悪化することが示された。Rad18とChk2は、発がんの抑制に関与していると結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rad18ノックアウトマウスとChk2ノックアウトマウスをかけ合わせて、2重欠損マウスを作成し、このマウスが高発がん性を示すことを見いだした。それぞれのマウスからES細胞を調製したので、この細胞を用いて解析することにより、どのような機序により高発がん性になったのか示すことができる。また、この解析を介して Rad18とチェックポイント因子の相互作用を解析してゆくことができると思われます。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型、Rad18欠損、Chk2欠損、Chk2・Rad18欠損ES細胞を用いて、増殖速度、UV感受性、架橋化剤感受性、染色体異常、組換え頻度、チェックポイントなどを調べてゆく。Rad18により損傷乗越え複製が制御され、Chk2が細胞周期を制御することにより組換えを促進しており、この両方が損なわれると高発がん性になると仮説を立てている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品およびマウスの飼育経費に主に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)