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2011 Fiscal Year Research-status Report

非相同末端連結によるDNA二重鎖切断修復の新しい制御機構

Research Project

Project/Area Number 23510066
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

矢野 憲一  熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 教授 (70311230)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
KeywordsDNA損傷 / DNA修復 / 非相同末端連結 / XLF
Research Abstract

DNAの完全な切断であるDNA二重鎖切断(DNA double-strand break, 以下DSB)は重篤な細胞障害であり、非相同末端連結(Non-homologous end-joining, 以下NHEJ)はDSB修復に重要な役割を担っている。本研究ではまずヒトにおけるNHEJによるDSB修復機構の基本因子であるKuならびにXLFを昆虫由来培養細胞中で発現し精製を行った。次にこれらのタンパク質を用いてゲルシフト法によるDNA上でのKu-XLF複合体形成機構を解析した。その結果、DNA上でXLFはKuのヘテロ二量体形成ドメインに相互作用して複合体を形成することを確認するとともに、イノシトール6リン酸がこの過程を強く促進することを明らかにした。次にXLF欠損細胞ならびに正常細胞からNHEJ無細胞反応系を確立するため、XLF欠損細胞を海外研究者から入手し、現在この細胞を用いた無細胞NHEJ反応系の確立に取り組んでいる。また、各種の欠失やアミノ酸置換を持つXLFを発現するレトロウイルスベクターを作製し、これらの変異XLF安定発現株を作成中である。さらに放射線高感受性ヒト遺伝病で発見されたXLFの一アミノ酸置換の生物学的意義を解析するため、この一アミノ酸置換を持つタンパク質を発現する一連のプラスミドならびにレトロウイルスベクターを作製した。この一アミノ酸置換を持つXLFをXLF欠損細胞中で発現し、タンパク質の性状と細胞内挙動を解析したところ、この変異タンパク質は、核内でDSB認識する機能を保持しているが、核―細胞質間輸送が細胞質側へと傾いているため、核内に局在するタンパク質量が極端に低下していることを明らかにした。さらにこの変異タンパク質は細胞質においてユビキチン化を受けることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

Ku-XLF相互作用の解析は順調に進展している。無細胞系を利用したDSB修復機構の解析についても、海外の研究者からXLF欠損細胞ならびに関連する遺伝子を欠損する培養細胞を分与していただくことができたため、これらの細胞から調製した無細胞系を用いた解析のための実験条件至適化が進行中である。さらにヒト遺伝病に見られる一アミノ酸置換をはじめとした各種の変異・欠損を持つXLFを発現するレトロウイルスベクターの作製も順調に進んでおり、次年度以降の研究に用いられる予定である。

Strategy for Future Research Activity

無細胞系によるNHEJ反応の解析を進めると共に、RNA干渉法によってイノシトール代謝経路とDSB修復の関連を明らかにする。さらに放射線高感受性ヒト遺伝病で発見されたXLFの一アミノ酸置換の生物学的意義の解析も引き続き行う。これらの知見を総合してNHEJ経路を介したDSB修復の新しい分子機構の解明へとつなげる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度に約36万円の研究費の未使用が生じた。その理由としては、CO2インキュベーターが当初の予測より安く購入できたことと、無細胞系によるNHEJの解析には比較的大量の細胞培養が必要と考えられていたが、現段階では実験条件の至適化に注力しているためにそれほど大量の細胞培養を行っていない、などの点が挙げられる。平成24年度以降の研究計画は当初のものから大きな変更はなく、平成23年度の未使用分を平成24年度分と合わせて試薬ならびに実験消耗品に使用することで、研究の速やかな発展が期待される。

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Published: 2013-07-10  

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