2012 Fiscal Year Research-status Report
オキサゾロン連続クラスター損傷に関する突然変異および修復反応の解析
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23510069
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
喜納 克仁 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (70360534)
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Keywords | 連続クラスター損傷 / グアニン酸化損傷 |
Research Abstract |
本課題の研究目的は、「グアニン連続配列を酸化することで、オキサゾロン(Oz)連続クラスター損傷を作成する。このOz連続クラスター損傷を用いて、DNAポリメラーゼによる塩基取り込み解析と伸長効率の解析などを行う。」ことである。昨年度は、22merDNAオリゴマーの検討を行った。しかしながら、研究の発展性を考えたとき、30merDNAオリゴマーの作成にこだわった方が良いことに気づいた。そこで、本年は以下のことを実施した。 30merのグアニン連続配列をもつ基質を用いて、活性酸素による酸化反応により、オキサゾロン(Oz)連続クラスター損傷の生成を確認した。しかしながら、原料と生成物のHPLCでの直接的な分離はうまくいかなかった。過去に報告されている方法を参考に[Ikedaら. J Am Chem Soc 1999, 121, 10836]、8メトキシグアニン(8meoG)のアミダイトを有機化学合成し、Ozに変化させたいところのみに8meoGを埋め込んだDNAオリゴマーを研究室で合成し、同様に酸化反応を試みた。しかし、グアニン連続配列と同様、OzOz連続配列の単離はうまくいかなかった。 そこで、OzOz連続配列の生成方法を根本的に変更することにした。まず変更する方法の妥当性を確かめるため、天然のグアニンを含む6merと13mer、11merに加え、その相補鎖30merを準備した。酵素でリン酸化後、ライゲーションし、天然グアニンを含む30merオリゴマーを作成しようとした。しかしながら、HPLC上では2本鎖高次構造をとるために目的の30merオリゴマーを単離できなかった。そこで、相補鎖側をDNA-RNAハイブリッド体に変更すると、高次構造が確認されず、30merオリゴマーの単離にようやく成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、原料として30merDNAを作成することにこだわった。直接的酸化ではうまくいかないことが判明したので、新たな方法論を試すことにした。このため、新たな方法論を導入したことで、大幅に計画に遅れが出てきている。しかし、天然のグアニン入り30merオリゴマーとはいえ、そのテストケースの実施が何とか成功したため、OzOz入り30mer作成はかなり希望をもっている。OzOz入り30merの作成さえ達成されれば、大幅に研究は進むはずである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも述べたように、ライゲーション法によるグアニン入り30merオリゴマーの構築に成功した。今後は、OzOz入り6merのオリゴマーを作成し、今回成功したDNA-RNAハイブリッド体を用いたライゲーション法を用いてOzOz入り30merオリゴマーを作成する。その後、種々のDNAポリメラーゼ反応を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
HPLCに関わる溶媒とHPLCカラム、原料の8meoG-8meoG入り6merオリゴマーの合成委託料、DNAポリメラーゼ作成に関わる分子生物学的試薬、反応解析を行うためのRI試薬および解析のためのゲル電気泳動関係の消耗品、および途中経過を学会で発表するための旅費、論文執筆・出版に関わる費用が生じる予定である。 また、論文での考察を行うため、計算化学ソフトウェアを購入することも検討したい。しかし、実際の性能および研究に役立つか否かを判断するため、1ヶ月のデモを経て購入するかを判断する。
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Research Products
(16 results)