2012 Fiscal Year Research-status Report
内分泌撹乱物質の次世代免疫・神経系への作用機序の解明と発育・健康リスク評価の検討
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23510074
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高本 雅哉 信州大学, 医学部, 准教授 (90226928)
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Keywords | 内分泌かく乱化学物質 / マクロファージ / 大豆 / ビスフェノールA / ヘルパーT細胞 |
Research Abstract |
これまで研究代表者らは内分泌かく乱化学物質がヘルパーT細胞分化に影響を与えることを、ビスフェノールA(BPA)を用いて明らかにしてきた。そのなかでBPAはTh2分化を亢進させること、および出生前BPA暴露は成長後の暴露に比しはるかに低用量で作用を示すことを示した。さらに、マウス飼料中に含まれる大豆は内分泌かく乱化学物質である植物エストロゲンであるダイゼインやゲニステインがBPAと同様T細胞分化に影響を及ぼしていることを、23年度に明らかにした。24年度には引き続き、大豆由来物質を含まない飼料をもちいて繁殖させたマウスを作成し、飼料中の植物エストロゲンがマクロファージ分化に影響を及ぼすかどうかを検討した。 普通飼料(N)および大豆除去飼料(SF)を用いて数世代繁殖させたC57BL6雄マウスより腹腔マクロファージを採取した。マクロファージ表面のM1・M2マクロファージ特異的な受容体の発現をフローサイトメーターで解析した。SFはNと比較してCD204,CD206の発現が低下していたが、TLR4の発現には変化がなく、M2分化が抑制されやすいSTAT6KOマウスと似たパターンを示した。以上の結果よりマウス飼料中の大豆由来物質はM2分化を誘導している可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大豆除去飼料を用いて繁殖させたマウスにおける、抗原提示細胞である樹状細胞・マクロファージ、好塩基球、ナチュラルヘルパー細胞などの機能の検討をおこない、その中で飼料中の植物エストロゲンがマクロファージに影響を及ぼしていることが判明した。その結果は学会等で発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
出生前BPA暴露による免疫応答に変化が起こっていることはすでに明らかにされているので、マイクロアレイ解析の方法により次世代マウスにおいてどのような遺伝子発現パターンの変化が起こっているか免疫関連遺伝子を中心に網羅的に調べ、免疫恒常性の破綻メカニズム解析の一助とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度未使用額は、24年度以降のマウス使用予定数の増加によるものである。25年度はさらにマイクロアレイを用いた研究を行うため、その費用へも充当する。
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Research Products
(3 results)