2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素化合物によるヒストン修飾の多様性とその意義の解明
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23510082
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
鈴木 俊英 帝京大学, 薬学部, 准教授 (60256055)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ヒ素化合物 / エピジェネティクス / ヒストン修飾 / 遺伝子誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題である「ヒ素化合物によるヒストン修飾の多様性とその意義」の「ヒ素化合物によるヒストン修飾の多様性」については、特異抗体を用いたイムノブロットにより修飾される部位と修飾形について、免疫蛍光染色法により細胞内での修飾部位の局在性をこれまで明らかにしてきた。本年度は「意義」の解明を主目的として検討を進めた。 まず、これまでの研究でヒ素化合物により修飾を受けることを明らかにしている、ヒストンH3(Ser10)リン酸化(H3S10p)、ヒストンH3(Lys9)ジメチル化(H3K9me2)、ヒストンH3(Thr11)リン酸化(H3T11p)、ヒストンH3(Lys9)トリメチル(Ser10)リン酸化(H3K9me3S10p)が、ヒ素化合物により誘導される遺伝子のプロモーター領域近傍で修飾亢進するかクロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて検討した。ChIPアッセイの結果、ヒ素化合物によりFOSの転写開始点近傍(-28~220)および転写開始点上流(-300~-200)、EGR1の転写開始点直前(-126~-21)の配列が巻き付くヒストンH3が顕著に修飾(H3S10p、H3K9me3S10p)されているという結果が得られた。また、レポーターアッセイを行い、これらの遺伝子のヒ素化合物による誘導に関わる転写因子結合配列を調べたところ、FOSは転写開点上流(-800~-200)、EGR1は転写開始点の直前(-150~-70)の転写因子結合配列が関与していることが明らかとなった。クロマチン免疫沈降とプロモーターアッセイの結果を考え併せると、iAs(III)によるFOS、EGR1の誘導は、ヒストンH3が修飾され構造が緩んだ部位に転写因子が結合して引き起こされる事が示唆された。
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