2011 Fiscal Year Research-status Report
光とオゾンを効果的に利用した高効率な液相系光触媒分解手法の開発とそのシステム化
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23510090
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50312921)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 光運搬 / 光触媒 / 2-プロパノール / オゾン / マイクロバブル / 分解速度 / 無機化 / 全有機炭素 |
Research Abstract |
実施した研究概要本年度は、光を運搬できる新たな水相光触媒分解用反応器の作製をまず行った。この反応器の性能評価を行うにあたり、光触媒懸濁系での2-プロパノール(イソプロピルアルコール, IPA)の分解速度ならびに無機化速度(全有機炭素量(TOC)の減少速度)について評価した。また、オゾンガスの発生と水中への溶解手法についても検討を行った。得られた成果中心の光源を石英管で覆い、そこから9本の石英製の枝管が放射状に広がる新たな反応器を作製した。これにより、UV光源からの光は効果的に反応器内に運搬された。本反応器を用いて枝管を遮光した場合としなかった場合についてIPAの分解速度と無機化速度を比較したところ、枝管を遮光しない系では分解速度、無機化速度ともに向上し、光運搬型反応器の有効性が示唆された。また、IPAの分解速度はIPAの初期濃度に依存する傾向があり、これは生成する分解生成物との競争反応によるものと推察された。反応速度の向上を目指し、オゾンガスの発生と水中への溶解手法を検討した結果、オゾンを沿面放電により発生しマイクロバブルとして水中内に送り込むことで、60 ppm程度のオゾンを水中に保持させることが可能となった。オゾンマイクロバブルとしてオゾンガスをIPAの分解反応系に供給した結果、IPAの分解速度が急速に速くなり多くの分解生成物が生成した。この分解生成物との競争反応により、IPAの分解速度は一時的に停滞したが、その後急速に回復し、TOCの減少速度としても最終的には顕著に向上する結果となった。これより、オゾンマイクロバブルを光触媒分解系に導入することにより、反応系全体での分解速度を向上できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度計画では、光運搬型反応器の作製と光触媒懸濁系でのIPA分解による反応器の性能評価、また、オゾンガス発生手法の確立を行うこととなっていたが、これについては計画通り遂行された。一方、次年度以降の不織布型光触媒の使用におけるオゾンマイクロバブルの導入を考えれば、本年度の懸濁系においてもオゾンマイクロバブルを導入した条件での評価を行っておく必要性を感じ、オゾンマイクロバブルを導入した実験条件においてもIPA分解と反応器の性能評価を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、懸濁系ならびに光透過性の高い不織布型の固定化光触媒系に対して、IPAの光触媒分解とオゾンマイクロバブルの効果を分解速度および無機化速度の観点から検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本年度作成の反応系を使用するため、特に備品の購入は行わず、消耗品と成果発表のための旅費、また、研究推進に必要な学生アルバイトに対する謝金として使用する。消耗品については、実験系が懸濁光触媒系と不織布型の固定化光触媒系の2 種類となるため、ガラスの修理・改良費、不織布触媒の加工費、実験試薬、分析関連費用などに主に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)