2012 Fiscal Year Research-status Report
光とオゾンを効果的に利用した高効率な液相系光触媒分解手法の開発とそのシステム化
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23510090
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50312921)
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Keywords | 光運搬 / 不織布型光触媒 / 2-プロパノール / オゾンマイクロバブル / 過酸化水素 / 分解速度 / 無機化 / 全有機炭素 |
Research Abstract |
実施した研究概要 本年度は、昨年度作製した光運搬型の新たな水相光触媒分解用反応器を用い、2-プロパノール(イソプロピルアルコール, IPA)の分解速度ならびに無機化速度の向上を目指した促進酸化手法の応用として、オゾンマイクロバブル、過酸化水素(H2O2)、不織布型の固定化二酸化チタン(TiO2)光触媒の導入効果について検証した。 得られた成果 オゾンマイクロバブル(O3MB)としてオゾンを水中に導入することで、高濃度オゾンを水中に溶解させることが可能となった。しかし、高濃度に溶解しているO3はラジカルの捕集剤として働くために、オゾンのみでは顕著なIPAの分解率、無機化率の向上は得られなかった。UV光を共存させたO3MB/UV条件においては、IPAの分解速度の向上は得られたが、アセトン等の中間体の無機化速度においては顕著な向上が確認できず、生成したOHラジカルがうまく寄与していない可能性が示唆された。この時、H2O2/UV条件ではO3MB/UV条件に比べ顕著なIPA分解率、無機化率の向上が確認されたことから、O3MB/UV条件では気相と液相を介する不均一反応であるためにOHラジカル生成が不利であった可能性が示唆された。これより効果的にOHラジカルを生成させる手法としてH2O2とO3を共存させたペロゾン反応について検討し、初期反応段階におけるIPA分解に最適なH2O2とO3の濃度比を見出した。さらにTiO2不織布を併用することにより無機化の促進が確認され、最終的には、40 ppmのIPAを2時間で完全分解し、さらに難分解性の中間体であるアセトンも30時間で完全に分解できる結果が得られた。なお、この時の全有機炭素に対する分解率は30時間で90%程度であり、不織布の加工段階での不純物等の影響と思われる分解速度の停滞が確認された。これについては、不織布材料の改良も含め次年度に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画は、IPAの分解率ならびに無機化率に対して促進酸化手法(オゾン、過酸化水素、光触媒)を用いた際の効果の確認とその最適条件を見出すことであり、これについては計画通り十分な結果を得ることができた。ただし、不織布型光触媒の利用において、不織布の加工段階での不純物等の影響と思われる全有機炭素における分解速度の停滞が確認されたことから、不織布材料の改良等について一部次年度に持ち越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画通り、小型の循環系処理システムを構築し流通系におけるIPAの分解速度、無機化速度について検討し、流速と処理能力の関係について検討する。さらに、物性の異なる他の有機汚染物質に対しても適用可能性を検討する。一方で、昨年度やり残した不織布材料の評価と改良についても並行して進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)