2011 Fiscal Year Research-status Report
白色腐朽菌変異株・超音波複合系による臭素系難燃剤処理技術の開発
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23510093
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
櫻井 明彦 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40283163)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 臭素系難燃剤 / 白色腐朽菌 / 超音波 / HBCD |
Research Abstract |
繊維や樹脂の難燃剤であるヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、難分解性で高蓄積性であることから、環境中に放出された場合に高次捕食動物への影響が大きい。このため、効率的な処理技術の開発が期待されている。本研究では、超音波照射により難分解性のHBCDにOH基を付加させ反応性を高めた後、白色腐朽菌変異株によりHBCDを効率よく分解するシステムを開発することを目的に検討を進めた。本年度は、(1)HBCDと超音波照射によって発生するOHラジカルの測定条件の検討と、(2)超音波処理単独によるHBCD分解条件の検討、(3)HBCD分解用の白色腐朽菌のスクリーニングを行った。 HBCDの測定に関しては、LC/MSを用いて検討した。イオン化方法について、ESI(エレクトロスプレーイオン化法)とAPCI(大気圧化学イオン化法)を検討したところ、感度としてはAPCIのほうが優れているが測定値が安定しない場合があったため、ESIをイオン化法として選択した。また、イオン化条件を検討した結果、溶離液にギ酸を加えることにより感度向上が可能であった。さらに極低濃度での分析を行うために、MS/MSによる分析を検討したところ、モニター分子としてはHBCDからプロトンが1つ脱離したものが最適であった。得られた分析条件により、ppbオーダーの分析が可能となった。一方、OHラジカルの測定としてはOHラジカルの発生量の代替値として、水中での過酸化水素濃度を測定することが最も簡便であることが分かった。 超音波照射によるHBCD分解については、照射周波数を400kHz付近に設定することで分解が確認された。HBCD分解菌については、イオンビーム照射により変異させた白色腐朽菌で分解可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HBCD測定条件の確立のために使用しているLC/MSが故障し、修理に時間がかかったため測定条件の確立が遅れた。これに伴い、超音波照射によるHBCD分解の評価ができず、これについても計画よりやや遅れる結果となっている。しかし、分解菌のスクリーニングは順調に進んでおり、全体としての遅れは僅かである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、超音波処理と白色腐朽菌処理を複合してHBCDの分解を検討していく。分解条件の検討には、応答曲面法などの統計学的な手法を取り入れる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度の研究費の多くは、白色腐朽菌の培養費用、超音波照射設備の消耗品費用、HBCDの分析費用に充てる予定である。
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