2012 Fiscal Year Research-status Report
膜固定化パーオキシダーゼを用いた塩素化エチレン汚染地下水の修復
Project/Area Number |
23510094
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高見澤 一裕 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00159005)
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Keywords | 塩素化エチレン / パーオキシダーゼ / 地下水汚染 |
Research Abstract |
昨年度の結果では、パーオキシダーゼと過酸化水素だけでは分解反応が生じなかったので、今年度は、NADHを共存させパーオキシダーゼによる塩素化エチレン分解を試みた。まず、市販のホースラディッシュ4種類を用いて過酸化水素とNADHの存在下でヒドロキシラジカルが生じるかを確認した。TOYOBO製とシグマ製TypeI, Type II, TypeIVを用いたが、いずれもヒドロキシラジカルの発生は確認できなかった。そのため、塩素化エチレン類の分解実験には至らなかった。 次に、ラッカーゼに着目し、メディエーターとして2,2'-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルフォン酸)や1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いて、ラジカルによる分解を検討した。 方法:塩素化エチレン類として、cisDCEを用いた。ラッカーゼはシグマ製を用いた。20ml容バイアル瓶にcisDCEを10mg/Lとなるように添加し、50mM酢酸緩衝液(pH 4.5)、メディエーター5mM, そしてラッカーゼを0.22 U/mlとなるように入れ、2日間反応させた。バイアル瓶中のヘッドスペースガス中の塩素化エチレン類をガスクロマトグラフで測定し、経時的な減少を追跡した。その結果、顕著な分解反応は見られなかった。 並行した研究で、微生物代謝産物で分子量約3000の物質がPCEを顕著に減少させることを見出した。この物質は、オートクレーブ処理により活性を低下させること、活性炭吸着されること、pH10が最も安定した活性を示すこと、プロテアーゼ処理で活性を低下させることなどを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パーオキシダーゼの反応メカニズム、これまでの塩素化エチレン分解研究の実績と文献情報からパーオキシダーゼによる塩素化エチレンの分解は生じると考えて研究を開始したが、考えていなかった実験結果となり、困難に直面している。 今年度は、解決策として、パーオキシダーゼのライブラリーを増やすこと、NADHとの共存での反応を試みたが、ネガティヴな結果となっている。初発塩素化エチレン濃度、酵素濃度、反応時間などの諸条件をさらに検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
パーオキシダーゼとNADHとの共存での反応条件を詳細に検討する。初発塩素化エチレン濃度、酵素濃度、反応時間などである。さらに、ラッカーゼによる分解反応もより詳細に検討する。 並行した研究で得られた塩素化エチレンを減少させる物質、リポペプチドやオリゴペプチドなどのバイオサーファクタントを想定、の詳細な化学的性質を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
膜型リアクターを購入する予定であったが、これは中止し、各種酸化型酵素・メディエーター、分離精製用の各種カラムなどの購入、分析機器の使用料などに充当する。また、得られるであろう成果を学会で発表し、論文として投稿する。
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