2013 Fiscal Year Annual Research Report
膜固定化パーオキシダーゼを用いた塩素化エチレン汚染地下水の修復
Project/Area Number |
23510094
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高見澤 一裕 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00159005)
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Keywords | 塩素化エチレン / パーオキシダーゼ / ラッカーゼ / カタラーゼ |
Research Abstract |
塩素化エチレン汚染サイトでのバイオレメディエーションによる修復の加速化を目指してパーオキシダーゼに着目し、パーオキシダーゼによる塩素化エチレン分解を検討した。塩素化エチレンとしてテトラクロロエチレン(PCE)、トリクロロエチレン(TCE)、シス-1,2-ジクロロエチレン(cDCE)と塩化ビニルモノマー(VC)を用いた。ホースラディッシュパーオキシダーゼとして、市販のTOYOBO製、シグマ製TYPE I、TYPE II、TYPE IV、Meijiseikaファルマ製を用いた。25 ml容バイアル瓶に各塩素化エチレンを所定濃度(PCE 0.0305 mM, TCE 0.0385 mM, cDCE 0.0521 mM, VC 0.161 mMのいずれか)入れ、緩衝液、過酸化水素1.4 mM、酵素溶液14.1 U/mlを添加して全体量を5 mlとした。30℃、24時間を標準の反応時間とした。コントロールとして、フェントン反応と0価の鉄粉を利用した。 過酸化水素を用い、各酵素の最適条件下で分解反応を試みたが、顕著な反応は生じなかった。そこで、NADHを共存させ、ヒドロキシラジカルの発生を確認したが、いずれも認められなかった。さらに、リグニンパーオキシダーゼやマンガンパーオキシダーゼ2種類を用いて分解反応を検討したが、ほとんど反応は生じなかった。次に、ラッカーゼに着目し、メディエーターとして2,2'-アジニビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルフォン酸)や1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いてラジカルによる分解を検討した。しかし、分解は生じなかった。さらに、カタラーゼを用いた分解反応も検討したが、ほとんど分解反応は生じなかった。 並行した研究で、微生物の代謝産物から分子量約3000のPCEを顕著に減少させる物質を発見した。この物質は、オートクレーブ処理により活性を低下させること、活性炭に吸着すること、pH10が最も安定した活性を示すこと、プロテアーゼ処理で活性を低下することからペプチド状の物質であると推定している。
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